歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



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『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』ってなあに?
とても人気のある歌舞伎のおしばいの一つ。
各地で盗みをはたらき、最後には豊臣秀吉(とよとみひでよし)の命令によって釜煎(かまい)りの刑にされたといわれる有名な大泥棒(おおどろぼう)石川五右衛門(いしかわごえもん)のお話です。世の中に広まっていた五右衛門伝説を基(もと)にしつつ、奇想天外(きそうてんがい)な物語になっています。“楼門(普通は“ろうもん”と読みます)”は寺社などにある二階建てになった門、“五三桐”は豊臣秀吉の家紋(かもん)です。
どんなストーリー?
石川五右衛門は噂の大泥棒。自分を育ててくれた父・武智光秀(たけちみつひで)の敵(かたき)を討とうと、当時の権力者である真柴久吉(ましばひさよし)の命を狙っています。
「絶景(ぜっけい)かな 絶景(ぜっけい)かな」というせりふは、各地で泥棒をはたらき、追手に追われる五右衛門が、京都の南禅寺(なんぜんじ)の山門(さんもん)の上で、夕暮れ時の満開の桜の花を眺めながら語るセリフです。五右衛門は泥棒ですが、お金持ちの家から財宝を盗むあざやかな手口と、父の敵(かたき)を討つために当時の権力者の命を狙うというストーリーが江戸時代の人々の人気を呼び、ヒーローとなりました。
 

テレビや映画という娯楽のなかった江戸時代。歌舞伎は、江戸の町人にとって大変人気のあるエンターテイメントでした。もちろん、このお芝居もフィクションですが、登場する真柴久吉や、武智光秀は、実在した豊臣秀吉と明智光秀をモデルにしています。
当時は、幕府への批判にも繋がるため、権力者や武士に関係した事件などを基にお芝居を作ることが禁止されていました。登場人物の名前をそのまま上演すると幕府に逆らうことになってしまうため、名前を少しだけ変えています。観客達は、誰のことなのかわかった上で、お話を楽しんだのでした。
この場面は有名なセリフとともに、豪華絢爛な山門がせり上がってくる舞台装置など、見どころが多いことから特に人気があり、しばしばこの場面だけ独立して上演されています。

 
出演者のご紹介
二代目 市川亀治郎 (いちかわかめじろう)
屋号は澤瀉屋(おもだかや)。市川段四郎の長男。伯父に市川猿之助、祖母に女優の高杉早苗、俳優の香川照之は従兄弟にあたる。慶應義塾大学文学部卒業。55年7月歌舞伎座『義経千本桜』の安徳帝で初お目見得。58年7月歌舞伎座『御目見得太功記』の禿(かむろ)たよりで二代目市川亀治郎を名のり初舞台。2002年には自身の勉強会「亀治郎の会」を立ち上げる。 2010年は、新春から4月まで若手花形俳優による座組みの清新な歌舞伎公演に出演。立役(たちやく)から女方(おんながた)まで、さまざまな大役に積極的に挑戦し、新鮮な魅力を見せている。
2010年 市川亀治郎さんの歌舞伎出演情報
2010年1月 新春浅草歌舞伎
2010年2月 博多座 二月花形歌舞伎
2010年3月 京都四條南座 三月花形歌舞伎
2010年4月 第二十六回四国こんぴら歌舞伎大芝居
2010年5月 御園座 五月花形歌舞伎