鮮やかな金糸銀糸の瓢箪(ひょうたん)の刺繍が施された裃に小袖…。 上の美しい衣裳をまとう人物は『金閣寺』の“此下東吉(このしたとうきち)実は真柴久吉(ましばひさよし)”です。 この東吉(羽柴秀吉、のちの豊臣秀吉のこと)の裃には、実際の秀吉の家紋として知られている五三桐(ごさんのきり)もついています。

 衣裳、背景や小道具、そしてストーリーなど、歌舞伎の舞台に込められた「こころ」「美意識」を探る連載の第4回。今回は登場人物の背景を雄弁に物語る文様についてお話しします。

文/飯塚美砂((財)松竹大谷図書館)
写真/松竹(株)
衣裳写真提供/松竹衣裳(株)
構成/栄木恵子(編集部)
隠された姿を表す紋
 
文様で主張する
 
故事からうまれたブランドマーク
 
スクラッチタイルと浮世絵「大橋あたけの夕立」の共通点

こころを映す、歌舞伎の舞台

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