雨の中をスイーっと飛び交う燕たち…。爽やかな浅葱色の地色が若々しさと色気を醸し出す「濡れ燕」と呼ばれるこの衣裳は、ご存知『鞘当(さやあて)』の二枚目、名古屋山三(なごやさんざ)の衣裳です。

 衣裳、背景や小道具、そしてストーリーなど、歌舞伎の舞台に込められた「こころ」「美意識」を探る連載の第5回。今回は雨や雲、雷、そして陽炎など、日本の豊かな四季を彩る気象を表す文様についてお話しします。

文/飯塚美砂((財)松竹大谷図書館)
写真/松竹(株)
衣裳写真提供/松竹衣裳(株)
構成/栄木恵子(編集部)
隠された姿を表す紋
 
文様で主張する
 
故事からうまれたブランドマーク
 
スクラッチタイルと浮世絵「大橋あたけの夕立」の共通点

こころを映す、歌舞伎の舞台

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