流麗、繊細、大胆。武田双雲の書は変幻自在だ。しかし、その書が持つ力はとても自然に、感情の深い部分にするりと潜り込み、心を震わせる。
「美しいだけでは伝わらない事も沢山あります。書くときはどうしたら伝わるかしか考えてない。それぞれ言いたいことが違うから、様々な文字を書ける。伝えようとする工夫です」
彼が書を始めたのは3歳の頃。母親である書道家、武田双葉に仕込まれた。それは書に触れたきっかけではあったが、本格的に書道家としての道が始まるのは、24歳の頃。まだ会社員だった。
「学生の時から、暇なときは趣味で書を書いていました。でも職業にしようとか、アーティストを目指そうとは思ってもみなかった」。
大学を卒業して社会人になり、今まで興味のなかった本を貪るように読み始める。自分の世界が社会と繋がったことで、様々なことに好奇心が湧いた。世界の広さを感じ、会社を辞めた。
「なんだかいてもたってもいられなくなって。自分には書があるから、書で何かしたいと思うようになりました」。 |