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歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」『梶原平三誉石切』『壽曽我対面』
知っているともっと面白くなる!

ようこそ歌舞伎へ 九代目 坂東彦三郎

皆さんの胸を借りるつもりで

 ――夜の部では『壽曽我対面』の五郎を初演されます。

 荒事の前髪の子ども。そこが、ぶれなければ、五郎になれるのではないでしょうか。菊五郎のお兄さんが工藤祐経、時蔵のお兄さんが十郎、萬次郎の叔父が大磯の虎に出てくださり、父が小林朝比奈なのが心強いです。『石切』は僕が主導権を握ってやらなければなりませんが、『対面』は皆さんの胸を借りるつもりで勤めます。

 ザ・歌舞伎という演目ですよね。これまでに近江小藤太と八幡三郎を勤めています。近江は、上手(かみて)に座っているので、芝居で見えない部分がたくさんあります。音、気配、せりふは覚えていますので、見えない部分の確認、そして心構えを、五郎の経験者である父に身体に落とし込んでもらい、自分のものにしていく作業をいたします。

 ――初舞台を踏み、亀三郎を襲名される長男の侑汰(ゆうた)さんも『対面』に出演され、鬼王家臣亀丸を演じます。

 まだ4歳ですが、タイミングが合ったので、僕たちと一緒に初舞台をすることになりました。本人はやる気満々です。出たがりとか目立ちたがりとはちょっと違いますが、自分を表に出そうとする力はあるかもしれません。

 『寺子屋』(平成28年12月歌舞伎座)の寺子に月の半分だけ出しましたが、自分の出演場面の全部の役のせりふを覚えていて、お芝居が好きなのかなと思いました。舞台には、のびのびと出て欲しいと思います。

 ――ご自身の子ども時代とは重なりますか。

 僕はもっとびくびくしていたと思います。舞台は神聖な場所と父や叔父たちから、今も心に残るぐらい教えられていたから、緊張感はありましたね。

歌舞伎座「六月大歌舞伎」

平成29年5月3日(水・祝)~27日(土)

『壽曽我対面』

工藤祐経 尾上  菊五郎
曽我五郎 亀三郎改め 坂東  彦三郎
近江小藤太 亀寿改め 坂東  亀 蔵
八幡三郎 尾上  松 緑
奴菊平 尾上  松 也
化粧坂少将 中村  梅 枝
秦野四郎 坂東  竹 松
鬼王家臣亀丸 初舞台 坂東  亀三郎
梶原平次景高 市村  橘太郎
鬼王新左衛門 河原崎 権十郎
梶原平三景時 市村  家 橘
大磯の虎 市村  萬次郎
曽我十郎 中村  時 蔵
小林朝比奈 彦三郎改め 坂東  楽 善

子ども扱いしてくれなかった祖父

 ――今回はお祖父様の十七回忌追善でもあります。どんな思い出がおありですか。

 似ていると言われることが多くなりましたが、厳しい人でした。孫、という感覚ではありませんでした。祖父にとり、僕は長男の長男だったのでしょう。子ども扱いをしてくれなかった。期待も大きかったのだと思います。僕とは60歳違い。僕が10歳のときに、祖父は70歳。同じものは表現できないのに、「俺ができるのだから、お前もできるだろう」と怒られました。

 ――お父様は、どんな存在ですか。

 師匠としても父親としても大きい。息子のおじいちゃんとしても素晴らしい人です。

 ――一緒に襲名される亀蔵さんはいかがでしょう。

 頼もしいです。言ってみれば戦友です。補い合える仲間。僕は結構まわりくどいのですが、弟はずばっと決めてくれます。

『壽曽我対面』(ことぶきそがのたいめん)

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 富士の裾野での御狩で総奉行を仰せつかった工藤祐経。一臈職を賜った工藤の館では、居並ぶ大名たちに遊女たちも加わって盛大な宴が開かれていました。その最中に朝比奈が、曽我十郎祐成と五郎時致の兄弟に会ってもらえないかと、工藤に頼みます。呼び出された二人は父の河津三郎祐康を討った敵、工藤に対面。今にも討ちかかろうとする五郎を、兄の十郎がたしなめ、朝比奈も間に入ります。18年来の思いを果たそうという五郎に、工藤は盃を差出し、紛失した友切丸がなければ敵討ちにならない、まずは刀を見つけよと諭します。そこに現れたのが、友切丸を手にした曽我の家臣、鬼王新左衛門と亀丸。工藤は兄弟に時節を待てと狩場への通行切手を与え、再会を約束して別れました。

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