
踊りにも定評のある亀治郎が、亀鶴扮する後見と息を合わせ、三番叟を溌剌と踊ります。
糸で操られる人形は当然人間のようには動けません。その不自由な動きをまねて踊るのが眼目の作品ですが、あえて不自由に動くには技術が求められることは言うまでもありません。
絡んだ糸が切れて後見が結び直したりなど、まるで見えない糸がそこにあるかのように思えてくる、楽しさあふれる華やかな舞踊です。
口上というのは、俳優が舞台から客席にむかって挨拶をすることで、客席との交流を大事にする歌舞伎独特のしきたりです。
今回はご当地の皆様方に、お目にかかった喜びを申し上げる御目見得口上の一幕をお楽しみいただきます。
ご贔屓の俳優の、舞台姿とは違う一面が伺えると好評の、和やかな中にも古式ゆかしい一幕です。
浜松屋の場の「知らざあ言って聞かせやしょう」という名台詞はもちろんのこと、洗練され練り上げられた演出は歌舞伎の面白さ、楽しさにあふれています。
また、稲瀬川は短い幕ですが、勢揃いした五人男の名乗りのツラネの台詞、衣裳の柄、陰で伴奏している音楽などが、すべて五人男に合わせて変えられており、幕開きから幕切れまですべてが見所聞き所です。
歌舞伎をよくご覧になる方はもちろんのこと、初めて見る方にも必ずやお楽しみいただける一幕です。
弁天小僧をつとめるのは亀治郎。亀鶴の南郷力丸、巳之助の赤星十三郎、桂三の忠信利平に加え、竹三郎が浜松屋幸兵衛で舞台を引きしめます。
また、日本駄右衛門には段四郎が扮し、五人男の頭領にふさわしい貫録を見せます。
一座が総出演でつとめる舞台にどうぞご期待ください。