
昔から「葛の葉子別れ」としてよく知られたお芝居です。愛しい子供を残して家を出て行かなくてはならない葛の葉の、哀しく切ない母心は、時代を超えて人々の心を捕らえて放しません。
また、歌舞伎ではこの哀れな物語に、さまざまな歌舞伎ならではの演出を加え、たびたび上演される人気作品に練り上げました。葛の葉姫と葛の葉との二役の早替りなど、見所は多々ありますが、なかでも、障子に「恋しくば尋ね来てみよ和泉なる信田の森のうらみ葛の葉」と書き置きを残す場面がよく知られています。ここでは、曲書きといって、左手や口で文字を書いたり、文字を裏返しに書く技巧が伝わっています。
情愛あふれる魁春の二役に加え、高麗蔵の保名、錦吾の信田庄司と、適材適所の配役でお楽しみいただきます。
いうまでもなく歌舞伎を代表する名作の一つであり、歌舞伎の演目の人気投票でも必ず上位をしめる、人気作です。悲劇の貴公子義経と、義経に最後まで従った弁慶のお話は、歌舞伎のみならずさまざまに描かれています。なかでも智仁勇兼ね備えた『勧進帳』の弁慶は、歌舞伎を代表する役柄であり、立役(たちやく)(男性の役)を志す歌舞伎俳優ならあこがれる、大役中の大役です。
今回は定評ある幸四郎の弁慶で歌舞伎の魅力をたっぷりとご堪能いただきます。 幸四郎は、全国の皆様に歌舞伎のすばらしさを感じていただきたいと、積極的に各地で勧進帳を上演してきました。
また、この秋、幸四郎は勧進帳の弁慶上演千回という記録を達成します。一回一回を丁寧に積み重ねている幸四郎の舞台は、大きな感動を呼び起こすことでしょう。 さらに、颯爽とした富樫左衛門は梅玉がつとめます。これまで歌舞伎座をはじめ、大劇場で何度も演じている、梅玉の当たり役の一つです。 また義経は魁春が格調高く演じます。付き従う四天王には、高麗蔵、松江、亀寿、錦吾が出演するという、充実した配役でお目にかける舞台にどうぞご期待ください。