平成20年度

(社)全国公立文化施設協会主催

西コース

松竹大歌舞伎


上演時間


演目と配役

一、芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)


  葛の葉
      葛の葉姫/女房葛の葉  中村魁 春
            信田庄司  松本錦 吾
            庄司妻柵  中村歌女之丞
            安倍保名  市川高麗蔵

二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)


           武蔵坊弁慶  松本幸四郎
             源義経  中村魁 春
            亀井六郎  市川高麗蔵
            片岡八郎  中村松 江
            駿河次郎  坂東亀 寿
           常陸坊海尊  松本錦 吾
           富樫左衛門  中村梅 玉

みどころ

一、芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)

  葛の葉
 阿倍野にある安倍保名の家を、信田庄司夫婦が訪ねてきました。娘の葛の葉姫を嫁入りさせようというのです。  庄司夫婦の言葉を聞いて、保名は驚きます。それもそのはず、葛の葉姫とはもう何年も連れ添い、子供までなした仲。葛の葉と、子供と三人で、この家で暮らしているのです。 しかし、庄司夫婦は葛の葉姫を伴っているのに、家の中から聞こえるのは女房の葛の葉が機を織る音。不審に思う保名は、女房の葛の葉の様子を窺うことにしました。 夜も更けた頃、女房の葛の葉が、沈んだ様子であらわれました。そして、すやすやと寝入っている幼い息子に、父親に伝えてくれと、自分の身の上を語りはじめるのでした......。

 昔から「葛の葉子別れ」としてよく知られたお芝居です。愛しい子供を残して家を出て行かなくてはならない葛の葉の、哀しく切ない母心は、時代を超えて人々の心を捕らえて放しません。
また、歌舞伎ではこの哀れな物語に、さまざまな歌舞伎ならではの演出を加え、たびたび上演される人気作品に練り上げました。葛の葉姫と葛の葉との二役の早替りなど、見所は多々ありますが、なかでも、障子に「恋しくば尋ね来てみよ和泉なる信田の森のうらみ葛の葉」と書き置きを残す場面がよく知られています。ここでは、曲書きといって、左手や口で文字を書いたり、文字を裏返しに書く技巧が伝わっています。
 情愛あふれる魁春の二役に加え、高麗蔵の保名、錦吾の信田庄司と、適材適所の配役でお楽しみいただきます。


二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)


 加賀の国安宅。兄頼朝に追われ、山伏姿になって奥州に落ちて行く、源義経はじめ、武蔵坊弁慶、付き従う四天王ら一行は、富樫左衛門が警固する関所にさしかかりました。
 弁慶が、富樫に東大寺への寄付を募る勧進の僧だと名乗ると、富樫はそれならば勧進の趣意を書いた勧進帳を見せろと迫ります。東大寺の僧と偽ったものの、一行は勧進帳を持っていません。機転を利かした弁慶は、持っていた巻物を取り出し、勧進帳と称して読み上げます。富樫はなおも山伏の姿のいわれなどを問いかけます。しかしそれにすらすらと答える弁慶。富樫はすっかり東大寺の僧と信じて通行を許可しました。
 ところが、強力(ごうりき)(荷物持ち)に姿を変えて後からついてきた義経が怪しまれてしまいます。
絶体絶命。弁慶は疑いを晴らすため、大きな賭に出ました......。

 いうまでもなく歌舞伎を代表する名作の一つであり、歌舞伎の演目の人気投票でも必ず上位をしめる、人気作です。悲劇の貴公子義経と、義経に最後まで従った弁慶のお話は、歌舞伎のみならずさまざまに描かれています。なかでも智仁勇兼ね備えた『勧進帳』の弁慶は、歌舞伎を代表する役柄であり、立役(たちやく)(男性の役)を志す歌舞伎俳優ならあこがれる、大役中の大役です。
 今回は定評ある幸四郎の弁慶で歌舞伎の魅力をたっぷりとご堪能いただきます。 幸四郎は、全国の皆様に歌舞伎のすばらしさを感じていただきたいと、積極的に各地で勧進帳を上演してきました。
 また、この秋、幸四郎は勧進帳の弁慶上演千回という記録を達成します。一回一回を丁寧に積み重ねている幸四郎の舞台は、大きな感動を呼び起こすことでしょう。 さらに、颯爽とした富樫左衛門は梅玉がつとめます。これまで歌舞伎座をはじめ、大劇場で何度も演じている、梅玉の当たり役の一つです。 また義経は魁春が格調高く演じます。付き従う四天王には、高麗蔵松江亀寿錦吾が出演するという、充実した配役でお目にかける舞台にどうぞご期待ください。