みどころ



巡業

平成20年

松竹大歌舞伎

平成20年10月30日(木)~11月25日(火)


一、新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)

 芝神明の祭囃子が響く中、魚屋宗五郎の内は静まりかえっています。それというのも、宗五郎の妹で磯部主計之助に妾奉公をするお蔦が、不義をしたとのことで手討ちにあい、忌中のためです。父の太兵衛や奉公人の三吉たちは、お蔦の不慮の死を嘆き、磯部の屋敷へ殴り込もうと訴えますが、宗五郎は皆を宥めるのでした。
 しかし磯部屋敷の腰元おなぎから、お蔦の死の真相を聞いた宗五郎は怒りに打ち震え、その気晴らしにと、おなぎの持って来た酒に口をつけます。宗五郎は酒乱の性質で、願を懸けて酒を断っていましたが、一口飲み始めると女房のおはまたちが止めるのも聞きません。
 そして酒を飲み干した宗五郎は、これまで押さえてきた怒りを顕わにして、屋敷へと向かい...。
 河竹黙阿弥の名作のひとつで、市井の人々を主人公に据えた世話物の代表的な作品です。見どころは、宗五郎が断っていた酒を飲み始め、ついに酒乱の体となる場面で、宗五郎の酔態の演技と共に、まわりの人々との緊密な演技が眼目となっています。
 すでに定評ある三津五郎の宗五郎に芝雀のおはま、萬次郎のおなぎ、秀調の磯部主計之助、市蔵の太兵衛、亀寿の三吉、そして彦三郎の浦戸十左衛門という魅力あふれる配役で、お楽しみ頂きます。


二、銘作左小刀 京人形(きょうにんぎょう)

 名工の左甚五郎は、廓である傾城にひと目惚れしますが叶わぬ恋と諦め、傾城と瓜二つの京人形を彫り上げて、自らの心を慰めています。
 そして甚五郎が、女房のおとくに仲居の役を頼み、京人形を箱から出して廓遊びの真似事を始めると京人形が動き始めます。甚五郎が一心不乱に彫り上げたので、人形に魂が宿ったのでした。しかし甚五郎の魂のために、京人形の動きは男のもの。そこで甚五郎は、傾城の使っていた鏡をその懐に入れると、京人形の動きは女のものとなります。こうして甚五郎は、京人形と共に楽しく踊り...。
 華やかで楽しい舞踊劇で、左甚五郎と京人形との踊りが見どころとなっています。とくに京人形が女の姿で男の所作を見せていたのが、鏡が懐に入ると女の所作を見せるという変化の妙が眼目です。また大工を相手にしての甚五郎の立廻りは、後半の見どころとなっています。
 三津五郎の左甚五郎、芝雀の京人形の精により、歌舞伎舞踊の魅力あふれる作品を上演します。

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