歌舞伎座
吉例顔見世大歌舞伎
平成18年11月1日(水)~25日(土)
昼の部
一、 通し狂言 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
足利家の当主で、悪臣一味の企むまま廓通いに没頭する頼兼(福助)は、大磯の廓からの帰りに襲われますが、危うく事なきを得ます(「花水橋」)。 次なる悪臣たちのターゲットは、頼兼の一子でまだ幼い鶴千代。御家転覆の首謀者である執権仁木弾正の妹の八汐(仁左衛門)は、鶴千代を守護する乳母の政岡(菊五郎)を陥れようとしますが、局の沖の井(三津五郎)らの機転により政岡は難を逃れます(「竹の間」)。政岡が鶴千代の食事の支度をしているところへ、今度は悪臣たちの黒幕的存在である管領山名宗全の奥方、栄御前(田之助)一行が来訪し、鶴千代に見舞いの菓子を差し出します。すかさず飛び出して菓子をほうばったのは、毒味役を担う政岡の息子、千松。途端に苦しみ出した千松を見て、八汐は即座にその息の根を止めてしまいます。そんな非情な光景を見ても、政岡は顔色ひとつ変えません。栄御前は、これは政岡が鶴千代と千松を取り替えたのに違いないと判断し、政岡に連判状を預けます。ひとり残った政岡は、わが子の死にしばし号泣。そこへ斬りかかってきた八汐のことは仕留めますが、連判状は、現れた鼠に持ち去られてしまいます(「御殿」)。 その鼠を床下で捕らえたのは、宿直の荒獅子男之助(富十郎)。しかし鼠は男之助の足下をスルリと抜け、逃げ出します。実はこの鼠の正体は、妖術を使って鼠に化けた仁木弾正(團十郎)でした(「床下」)。 鶴千代を守護する老臣の渡辺外記左衛門(段四郎)の訴えで、弾正一味は問注所で評決を受けます。一度は山名宗全の裁きで不利になった外記ですが、細川勝元(仁左衛門)が登場して勝訴。罪を認めた仁木弾正は、悔恨の情を示すふりをして外記に斬りかかりますが、最後は外記の前に倒れます(「対決・刃傷」)。 優雅な若殿頼兼の暗殺未遂に始まり、御殿で繰り広げられる女どうしの闘いと子殺しの悲嘆、豪快な男之助と不気味な巨悪ぶりを見せる仁木、そして颯爽とした勝元の裁きで迎える大団円まで、あらゆる歌舞伎の楽しさが詰まった人気狂言。歌舞伎座では10年振りの通し上演となります。
ニ、七枚續花の姿繪
源太(げんだ)
願人坊主(がんにんぼうず)
梶原源太景季といえば、歌舞伎では風流を解する色男の代名詞的存在。かたや願人坊主は、門付けをして街を歩く、ひょうきんな坊さん崩れの大道芸人。まったく個性の異なる二人を、舞踊の名手三津五郎が、鮮やかに踊りわけます。
夜の部
一、鶴亀(つるかめ)
華やかな春の節会の宮殿。出御された女帝(雀右衛門)の前で、千年万年の寿命を捧げるという、めでたい鶴(三津五郎)と亀(福助)による舞いが舞われます。能の『鶴亀』の詞章をそのまま長唄に移した舞踊で、格調高く典雅なひとときが流れます。
二、良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)
二月堂
東大寺の良弁大僧正(仁左衛門)は、春日大社に参拝し、二月堂の傍らの杉の大木に礼拝するのを日課としています。実は良弁は幼いころ大鷲にさらわれ、この大木に落とされたところを拾われて、修行の末大僧正にまで出世した人でした。いつものように大木の前にやって来た良弁は、わが子をさらわれた後に零落したという、みすぼらしい老婆(芝翫)に出会います。実はこの人こそ、良弁の母の渚でした。高僧の意外な生い立ちと、三十年ぶりとなる母子の再会。涙を絞らずにはいられない、情に溢れた一幕です。
三、雛助狂乱(ひなすけきょうらん)
将来を嘱望されながら、二十代の若さで逝った二代目嵐雛助(1774~1801)。その雛助が初演したことからこの名が付いた長唄舞踊で、捕手と立ち廻る秋田城之助(菊五郎)の狂気が見どころ。歌舞伎座では初めての上演となります。
三、五條橋(ごじょうばし)
京の五條の橋の上。武蔵坊弁慶(富十郎)の前に、近ごろ京でうわさの武芸に秀でた美少年が現れます。猛者の弁慶を見事にしとめた少年の名は、牛若丸。以後二人は固い主従の絆で結ばれます。富十郎が、昨年牛若丸役で鷹之資を襲名した七歳の長男を相手に踊る、ほほえましい長唄舞踊です。






