昼の部
一、祝初春式三番叟(いわうはるしきさんばそう)
翁(
富十郎)が千歳(
松緑・菊之助)と共に現れると、尉の面を付けて国土安穏を祈って厳かに舞い始めます。続いて三番叟(
梅玉)が五穀豊穣を祈念して、鈴を手にして賑やかに踊ります。
今回は
錦之助、
松江が後見を勤めます。歌舞伎座さよなら公演の幕開きにふさわしい舞踊をお楽しみ下さい。
二、平家女護島
俊寛(しゅんかん)
絶海の孤島に流罪となった俊寛僧都(
幸四郎)、平判官康頼(
歌六)、丹波少将成経(
染五郎)は、流人の生活に疲れ果てています。そんな俊寛たちを喜ばせたのは、成経が土地の海女である千鳥(
芝雀)と夫婦になったこと。一同は形ばかりの婚礼を執り行い、ふたりを祝います。
ここへ都からの赦免船が到着し、丹左衛門尉基康(
梅玉)と、瀬尾太郎兼康(
彦三郎)が上使として現れますが......。
俊寛の悲劇を描いた近松門左衛門の名作を華やかな顔ぶれでご覧頂きます。
三、花街模様薊色縫
十六夜清心(いざよいせいしん)
鎌倉極楽寺の僧である清心(
菊五郎)は、遊女の十六夜(
時蔵)と深い仲になったため、女犯の罪で寺を追われてしまいます。そして清心と十六夜は心中を決意して入水しますが、十六夜は舟遊びをしていた俳諧師白蓮(
吉右衛門)と、船頭の三次(
歌昇)に救われます。
一方の清心も水練に堪能であったために死に損ないます。やがて清心は、癪を起こして苦しむ恋塚求女(
梅枝)を助けた拍子に懐の大金に触れ......。
情趣あふれる清元と、清心の名台詞で知られる河竹黙阿弥の作品をお楽しみ頂きます。
四、鷺娘(さぎむすめ)
池のほとりでしょんぼりと立っている娘は、鷺の精(
玉三郎)が人間に姿を変えたもの。やがて鷺の精は自らの恋を語りながら踊っていきますが、道ならぬ恋をしたために地獄の責めを受け、降りしきる雪の中、息絶えます。
定評ある玉三郎の『鷺娘』をご期待下さい。
夜の部
一、壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
富士の巻狩りの総奉行に任じられた工藤祐経(
幸四郎)は、これを祝しての宴を館で催し、大磯の虎(
芝雀)、化粧坂少将(
菊之助)を始めとした傾城や、家臣の近江小藤太(
染五郎)、八幡三郎(
松緑)ほか、梶原景時(
錦吾)、梶原景高(
亀蔵)親子が集っています。小林朝比奈の妹舞鶴(
魁春)は、工藤に会わせたい人がいると言って、ふたりの若者を呼び寄せます。
実はこの若者は、工藤が討った河津三郎の遺児である曽我十郎(
菊五郎)、曽我五郎(
吉右衛門)兄弟でした。父の仇を晴らそうとする五郎は工藤に駆け寄りますが、これを十郎が止めます。このふたりの様子を見て工藤は、仇討ちよりも兄弟の養父が紛失した友切丸の探索こそが重要と説きます。
そこへ兄弟の家臣である鬼王新左衛門(
梅玉)が駆け付け、行方不明となっていた友切丸を工藤へ差し出します。すると工藤は、富士の巻狩りを終えた後で、兄弟に討たれる覚悟を示して別れるのでした。
初春にふさわしい作品を豪華配役で上演する話題の舞台です。
二、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
江戸城の大奥でお小姓の弥生(
勘三郎)が、余興に踊りを披露することとなり、大広間へと連れられて来ます。こうして弥生は袱紗や扇を使って踊りますが、獅子頭を手にすると獅子が勝手に動き出し、やがて姿を消してしまいます。
ここへ胡蝶(
千之助・玉太郎)が出現して舞い遊ぶところ、獅子の精となった弥生が現れ、勇壮な獅子の狂いを見せていきます。
新歌舞伎十八番の一つである華やかな舞踊をご覧頂く注目の舞台です。
三、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)
鰯賣の猿源氏(
勘三郎)は、高位の遊女である蛍火(
玉三郎)を見初めて、恋焦がれています。そこで猿源氏の父である海老名なあみだぶつ(
彌十郎)は、猿源氏を大名に、博労の六郎左衛門(
染五郎)を家老に仕立てて廓に向かいます。
一方、蛍火は茶屋の座敷で朋輩の遊女と貝合せに興じるところ、怪しげな庭男(
亀蔵)を目にとめます。ここへ宇都宮弾正とその身を偽る猿源氏がやって来るので、何も知らない茶屋の亭主(
東蔵)は、猿源氏たちを丁重にもてなします。やがて猿源氏は蛍火の膝の上で寝るうちに、鰯賣の売り声を寝言で言ってしまい......。
笑い溢れる三島歌舞伎の代表作をお楽しみ下さい。