一、 名物喧嘩茶屋(めいぶつけんかぢゃや)
茂林寺文福作で昭和十八年に旧松竹家庭劇で『鸚鵡茶屋』の名で初演された本作品は、その後『名物けんか茶屋』となり、現在は松竹新喜劇の『お種と仙太郎』で人気の演目です。
いつの世も変わらぬ姑の嫁いびりを抱腹絶倒の喜劇に仕立てたもので、それを見かねて改心させる丹波屋ご寮さん役は、初演では丹波屋の主人清二郎で、曽我廼家十吾が勤めていました。今回は大津嶺子が演じます。初演時の母親お岩役は浪花千栄子、その後花村美津子、石河薫が勤めていたのを昭和五十四年から藤山寛美が女方で勤め、嫁をいびる鬼姑役で大当たりを取り、藤山寛美二十快笑の一つとなっています。その藤山寛美のお岩に憧れ続けていたという坂東竹三郎が、今回初めて勤めます。
二、 怪異 有馬猫(ありまねこ)
鍋島、阿波等、日本には化け猫ものがたくさんありますが、中でも有名なのが北九州、久留米の有馬猫で、何度か映画化もされた人気の演目です。
河竹黙阿弥の作で、本名題は『有松染相撲浴衣』。明治十三年猿若座初演です。
「加賀見山」(「鏡山」)の世界を借りた怪談で、今回特別出演の中村壱太郎が中老お藤の方を、坂東薪車が老女岩波を演じるのも楽しみなところです。
坂東竹三郎は薪車時代、昭和四十年八月に中座で一度、召使お仲、小姓秀之進、鳥追いお駒、怪猫駒の四役を早替りで勤め、生きている鯉を使ったり、ケレン味たっぷりの舞台が評判を呼びました。関西での『有馬猫』の上演はそれ以来で、四十四年ぶりとなります。今回は、坂東竹三郎が召使お仲、小姓秀之進とお仲実は怪猫の三役を勤めます。
三、 道頓堀歌舞伎賑(どうとんぼりかぶきのにぎわい)
坂東竹三郎が家元を務める東山村流一門の方々と、坂東薪車、坂東竹朗、そして特別出演の中村壱太郎が華やかに踊る歌舞伎舞踊です。締めに坂東竹三郎が登場し、皆さまにご挨拶をして幕と致します。