博多座 二月花形歌舞伎


上演時間


演目と配役

昼の部



一、新歌舞伎十八番の内 高時(たかとき)


            北条高時  海老蔵
            安達三郎  亀 寿
              衣笠  松 也
            秋田入道  亀 蔵
           大仏陸奥守  市 蔵


二、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)


       小姓弥生/獅子の精  菊之助


三、倭仮名在原系図 蘭平物狂(らんぺいものぐるい)


      奴蘭平 実は 伴義雄  松 緑
     与茂作 実は 大江音人  亀三郎
    女房おりく 実は 妻明石  松 也
           水無瀬御前  右之助
            在原行平  菊之助


夜の部



一、おちくぼ物語(おちくぼものがたり)


          おちくぼの君  菊之助
            左近少将  海老蔵
            兵部少輔  市 蔵
              帯刀  亀 寿
              阿漕  松 也
             典薬助  亀 蔵
             北の方  右之助
            源中納言  團 蔵


二、新歌舞伎十八番の内 船弁慶(ふなべんけい)


       静御前/平知盛の霊  海老蔵
          舟長三保太夫  松 緑
             源義経  松 也
            舟人浪蔵  亀 寿
            舟人岩作  亀三郎 
           武蔵坊弁慶  團 蔵


三、彦市ばなし(ひこいちばなし)


              彦市  松 緑
            天狗の子  橘太郎
              殿様  亀 蔵

みどころ

昼の部

新歌舞伎十八番の内 高時(たかとき)

 鎌倉幕府の執権北条高時は、犬を偏愛し、田楽にうつつを抜かす驕慢ぶり。老婆に襲いかかった犬を斬った安達三郎を死刑に処すと言いだし、周りに諌められます。思えば今日は先祖義時の命日。思いとどまり、愛妾の酌で飲みなおしていると、突如落雷が響き、天狗の一団が現れて、高時は散々になぶられてしまい・・・。高時と天狗たちによる「天狗舞」や、響きわたる高時の名せりふが聞きどころです。九世團十郎が定めた新歌舞伎十八番のひとつで、海老蔵が家の芸に初役で挑みます。

新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)

 江戸城内、正月の大事な行事のある日。この日は、技芸の優れたものが選ばれて将軍の前で舞うことになっています。金地に極彩色の牡丹の描かれた襖絵の一室、将軍家秘蔵の獅子頭を飾った祭壇の前に、老女たちが小姓の弥生を連れてきます。弥生が獅子頭を手に取り踊っていると、突然獅子の精が弥生に乗り移り、姿をあらわします。前半は可憐な小姓、後半が獅子の精と、対照的な役どころを菊之助が踊り分けます。

倭仮名在原系図 蘭平物狂(らんぺいものぐるい)

 蘭平は、倅・繁蔵が自分を差しおいて主君である在原行平暗殺犯の追手役に任ぜられたことを不満に思い、自分に行かせてほしいと申し出ますが取り立ててもらえません。ですが、それは蘭平の、刀を見ると錯乱するという奇病のせいなのです。『蘭平物狂』とは、勇ましい蘭平が刀を見て正気を失い、乱心して踊るところからきています。そして後半は、歌舞伎の中でも群を抜く大掛かりな立回りが最大のみどころで、松緑が自身の襲名披露でも演じた蘭平を存分にお目にかけます。



夜の部

おちくぼ物語(おちくぼものがたり)

 『落窪物語』は、平安初期に書かれたもので、"継子いじめ"ものとしては最古の作品です。シンデレラのように継母や姉たちからつらい仕打ちを受けても耐え抜くおちくぼの君の口癖は、「ごめん遊ばせ」。屋敷の中でいちばん落ち窪んだ部屋に入れられているからその名が付いたほどで、忍従一方に見えるおちくぼですが、お酒を飲むと・・・。おちくぼの君を菊之助、左近少将を海老蔵と、平安絵巻のような美しいコンビの恋物語にご期待ください。


新歌舞伎十八番の内 船弁慶(ふなべんけい)

 兄の頼朝に疎まれ都を追われた義経は、九州へ向かう途中、摂津国大物浦にたどり着きます。義経はここで愛妾の静御前と別れ、弁慶ら家臣と共に船出をしますが、そこへ平家の武将・平知盛の霊が現れ、義経一行に襲いかかります。能の『船弁慶』を題材にした「松羽目物」で、格調高く荘重な舞踊劇です。前半は、義経との別れを余儀なくされる静御前の哀しみを込めた舞、後半は、船出した義経一行を苦しめる平知盛の霊の迫力が大きなみどころです。ひとりで男と女、静と動を踊り分ける屈指の大曲で、海老蔵が初役で演じます。

彦市ばなし(ひこいちばなし)

無類のうそつき名人彦市は、天狗の子からまんまと隠れ蓑をだまし取りました。親天狗の仕返しを恐れた彦市は、天狗の面をかぶって変装した殿様を見て、なにやら一計を案じます・・・。昭和29年、二世松緑が初演した木下順二の民話劇で、熊本県・八代を舞台にしたとんち話がもとになっており、今回は彦市を松緑が演じます。せりふに方言を使うなど、素朴な笑いが評判となり、以降多くの民話劇が歌舞伎で上演されるきっかけとなった作品です。古典とはまた味のちがう、楽しいお芝居をお楽しみください。