公演のたびに、渋谷の街を沸かせる〝コクーン歌舞伎〟。その第八弾は、2001年に上演し、大好評を博した『三人吉三』が帰ってきます。
　『三人吉三』は、名作者・河竹黙阿弥が、安政七年（1860）に書き下ろした世話物の傑作です。幕末の作品らしく、退廃的な雰囲気に包まれている一方で、時代の転換期ならではの、刹那的な美しさに溢れています。
　和尚吉三、お嬢吉三、お坊吉三という、同じ名前を持つ盗賊が、節分の夜に出会い、義兄弟の契りを交わします。やがて物語の展開とともに、この三人の吉三が、不思議な因縁で結ばれていることが判明していきます。
　またその一方で、双子の兄妹と知らずに愛し合ってしまう、おとせと十三郎。そして過去に犯した罪の重さに苦しむ土左衛門伝吉。
　名刀・庚申丸と、百両の金を巡っての人間ドラマを、原作に忠実に描き出し、古典の名作に新たな光を当てた、〝コクーン歌舞伎〟『三人吉三』を、存分にお楽しみ下さい。

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