一、平家女護島 俊寛(しゅんかん)
都から南海の孤島である鬼界ヶ島に流された俊寛は、丹波少将成経、平判官康頼と共に、その日暮らしの生活を送っていました。ある日、成経が島に住む海女の千鳥と夫婦になったという嬉しい知らせが飛び込んできます。二人の結婚を喜び、ささやかながら、皆で祝いの宴を開いていると、一隻の赦免船が島に到着しました。使者として船から降りた丹左衛門基康と瀬尾太郎兼康は俊寛たちに赦免の旨を伝えます。島から出られると一同喜び合いますが、千鳥だけは乗船が許されません。俊寛は、千鳥を自分の代わりに都へ向かわせる決心をし、ある行動を起こします...。
先代ゆずりの当たり役『俊寛』を、当代
勘三郎が本公演では十三年ぶりに演じる必見の舞台。観る者の心を打つ、人間ドラマともいえる感動の名作を、丹左衛門の
扇雀、瀬尾の
彌十郎、康頼の
亀蔵、成経の
勘太郎、千鳥の
七之助と好配役を得て、余すところなくご覧に入れます。
二、連獅子(れんじし)
親獅子が仔獅子を鍛えるために、千尋の谷に突き落とすという故事。三人の狂言師が天竺の霊地、清涼山にある石橋にちなんだ、この故事を踊ります。間狂言の「宗論」を挟んでの後半は、満開の牡丹が咲き誇る中、三人が勇猛な白頭と赤頭の獅子の精となって現れ、長い毛を勇ましく振り、獅子の狂いを見せます。
先代と当代が共演した舞台が今も語り草になっている『連獅子』。現
勘三郎が子息の
勘太郎、
七之助と共に何度も手掛けている親子三人で踊る『連獅子』は、先般のニューヨーク公演の初日にも上演されました。ますます息の合った迫力あふれる舞台を存分にお楽しみ下さい。
三、人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)
本所割下水に住む左官の長兵衛は、腕は立つし、人柄もいいのですが、困ったことに大の博打好き。女房のお兼とはいつも喧嘩ばかりです。そんな状況を見かねた娘のお久は、両親のために吉原に身を売る決心をします。事情を察した吉原の妓楼角海老の女房お駒は長兵衛を呼び出し、お久のためにも心根を入れ替えて仕事に精を出すように諭し、五十両の金を貸し与えます。孝行娘の想いにすっかり目が覚めた長兵衛は、大金を懐に家路に着きますが、その途中、大川端で、店の売上金を無くした申し訳なさから、身投げをしようとしている若い男を見かけます。この窮状を気の毒に思った長兵衛は...。
三遊亭円朝が口演した人情噺が原作の世話物の名作。今回は映画界の巨匠、
山田洋次監督が補綴を手掛け、人間味あふれる長兵衛の
勘三郎をはじめ、お兼に
扇雀、和泉屋清兵衛に
彌十郎、伊兵衛に
亀蔵、文七に
勘太郎、そして角海老女房お駒には
芝翫が出演と華やかで充実した顔ぶれが揃います。