「浪花花形歌舞伎」出演者が意気込み

「浪花花形歌舞伎」出演者が意気込み

 大阪松竹座4月公演「浪花花形歌舞伎」」は今年で第五回を迎え、上方ゆかりの出演者に、今年は翫雀の長男の壱太郎も加わり、さらにフレッシュな顔ぶれが舞台に揃います。花形俳優が大役に挑む「浪花花形歌舞伎」、上演を前に3月10日懇親会が行われ、出演者が意気込みを語りました。

 

中村翫雀―――
 第二部の『双蝶々曲輪日記』では、角力場・難波裏・引窓と上演いたします。このようにして見ていただくと、ストーリー的にもお客様に良くわかっていただけますし、『双蝶々曲輪日記』の主役は濡髪長五郎だと、改めて流れがおわかりいただけるのではないでしょうか。角力場と難波裏では、山崎屋与五郎と放駒長吉の二役そして引窓では南与兵衛と、あわせて三役を勤めます。

 第一部では、『妹背山婦女庭訓』三笠山御殿で豆腐買おむら、第三部では、『於染久松色読販』で山家屋清兵衛を勤めさせていただきます。ぜひお楽しみいただければと思っております。

中村扇雀―――
 「浪花花形歌舞伎」では、挑戦してみたい役を随分と演じさせていただき、今の私の財産になっている役も多くございます。今回は『お染の七役』。お話をうかがったときは、夢にも思っていなかったので本当にびっくりいたしました。

 早替りの楽しさをお伝えしたいのと共に、一つ一つの役を丁寧に演じたいと思っておりますので、可能な限り吹き替え無しで勤めたいと思っています。

 第一部『妹背山婦女庭訓』では、烏帽子折求女、第二部『双蝶々曲輪日記』では平岡丹平を勤めます。どのお芝居も、見終わったお客様に爽快感を与えられるようにできればと思っています。

片岡進之介―――
 第一部『妹背山婦女庭訓』では、蘇我入鹿を勤めます。国崩しという役柄で絶対悪の典型的な人物です。地位も高く、若手では大変難しい役だと思いますが、そのように見えるように、そして不思議な雰囲気が出せるよう勤めたいと思っています。

 第二部の業平は、実在した日本一のいい男です。上手く“ふわっ”とした感じを出せればいいなと思っています。

 第一部と第二部では、全く別の役柄を演じますが、同じ役者がやっているとは思えないように、そして、このような機会を与えていただいた事に感謝して、しっかり勤めたいと思っています。

片岡孝太郎―――
 第一部では、お三輪を勤めさせていただきます。大変大きなお役で、最初にお話しをいただいた時には、本当にびっくりいたしました。

 お三輪は、強い女になりすぎてしまうきらいがあるので、注意して、自分のお三輪を作っていきたいと思っています。

 第三部の『お染の七役』では、油屋多三郎という、久しぶりの立役です。大変うれしく新しい挑戦だと思っています。第二部の『引窓』では、女房お早を勤めます。花形歌舞伎のパワーを出したいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

片岡愛之助―――
 第一部『妹背山婦女庭訓』では鱶七を勤めます。せりふの面白さもある役ですが、しっかりとした大きさも出していきたいと思っております。

 第三部『お染の七役』では、鬼門の喜兵衛を勤めます。骨太なイメージのある役ですが、少し億劫そうな動きも必要だと思っています。

 第二部の『引窓』では、三原伝造を勤めます。どのお役も気を引き締めて勤めさせていただきたいと思っています。

中村亀鶴―――
 「浪花花形歌舞伎」では毎回大きな役を勤めさせていただき、私にとりましても大変大切な公演となっています。

 第二部の『引窓』ですが、この作品は、私が“ドラマ性のあるものを演じたい”と思うきっかけとなった、思い入れの深い演目です。今回長五郎を演じさせていただきますが、与兵衛との間に緊迫した空気を出すことが出来ればと思っております。

 第三部の『お染の七役』では、油屋太郎七を勤めます。こちらは江戸の風情が出るように演じたいと思っています。

中村壱太郎―――
 今回、「浪花花形歌舞伎」に初めて出演させていただきます。上方ゆかりの俳優での上演は大変な事ですが、一致団結した雰囲気があってとてもすばらしいと思っています。

 第二部の『双蝶々曲輪日記』では、父と恋仲を演じます(笑)。そして、第三部の『お染の七役』では、髪結の亀吉を勤めます。立役をやりたいと思っていたので、大変うれしく思っています。

 第一部『妹背山婦女庭訓』の橘姫も含めて、すべてが初役での挑戦です。どのお役もしっかりと考えて勤めたいと思っています。

坂東薪車―――
 「浪花花形歌舞伎」は毎年大役を勉強させていただいており、大変思い入れのある公演です。

 第一部『妹背山婦女庭訓』では荒巻弥藤次をつとめます。義太夫狂言でもあり、きっちり演じたいと思っています。第二部の『業平吾妻鑑』では、業平のお供をする舎人太郎吾を勤めます。主を大事にするという気持ちを根底にこれから勉強したいと思っています。

 また、第三部『お染の七役』の鈴木弥忠太は、お金に汚いという、いやらしさが自然に出てこないと面白くないと思いますが・・・今の私にできることを精一杯やってみたいと思っています。

 公演は4月5日(土)から13日(日)の9日間。料金もお手頃な設定となっていて、上演時間も第三部は会社帰りにご覧いただける午後7時から。
 “花形歌舞伎”と銘打つとおり、すべてのお芝居がエネルギッシュで、出演者の一生懸命さが舞台に溢れているとご好評の 大阪松竹座4月公演「浪花花形歌舞伎」。上方歌舞伎の味わいを存分にお楽しみください。

2008/03/25