藤十郎、菊五郎、幸四郎が「六月博多座大歌舞伎」への思いを語りました

藤十郎、菊五郎、幸四郎が「六月博多座大歌舞伎」への思いを語りました

 6月2日(木)初日の「六月博多座大歌舞伎」では、昼の部に『矢の根』『加賀鳶』『身替座禅』、夜の部に『仮名手本忠臣蔵 七段目』『英執着獅子』『魚屋宗五郎』が上演されます。公演に先立ち坂田藤十郎、尾上菊五郎、松本幸四郎が思いを語りました。

坂田 藤十郎
 昨年の素晴らしい公演につづき、有難いことに今年も2年続けて博多座に出演させていただきます。今年は夜の部の『英執着獅子』だけで、昼の部は出していただけません(笑)が、昼夜出ているつもりで大いに張り切って勤めたいと思っております。

 『英執着獅子』は女から男になったり、女だけで勤めたりと様々な演出がありますが、今回は前半をお姫様、後半は男の獅子となって勇壮に勤めたいと思っています。もう一度洗い直して、この博多座が初演となるような気持ちで新たな舞台を創り上げたいと思っています。

 博多座はお客様との距離感が近く、温かさが伝わってきて、「帰ってきたよ!」というような気持ちになります。博多には以前、大博劇場という古い劇場があり、そこにも出させていただきましたが、その時に感じた博多の人達の温かな人柄が今も博多座には残っているような気がします。また、5月29日には博多座で恒例の「船乗り込み」がございます。ご見物の方々と、船に乗っている我々とが、本当に近いところにおりまして、とても華やかで今から楽しみにしております。


尾上菊五郎
 お芝居では3年ぶりの博多座ですが、毎年8月にチャリティー歌舞伎というイベントがあり、そのお手伝いをさせていただいているので、久しぶりというよりも、「ただいま」というような感じでおります。今年は九州新幹線も全線開通し、とても盛り上がっているようですので、私たちもそのパワーをお客様からいただいて、一所懸命に舞台を勤めたいと思っています。

 昼の部では新古演劇十種の内の『身替座禅』、夜の部では『魚屋宗五郎』を勤めます。『身替座禅』は、奥方の目を掠めて浮気をするという、世界共通どこで上演してもとても喜ばれるお芝居で、左團次さんの奥方を相手に面白く演じたいと思っております。『魚屋宗五郎』は河竹黙阿弥が五代目菊五郎のために書いた役で、お酒を飲んでの酔態、笑い上戸・怒り上戸・泣き上戸、この三つを使い分けながら江戸っ子の粋の良さを、そして武士と町人との差、どうしようもない悔しさを出しながら演じていきたいと思っております。

 博多では屋台も楽しみです。ラーメン、天ぷら、生ものもあればカクテルバーまであるんですもんね。隣に座った同士がすぐに友達になっちゃってね、そういう気さくなところが大好きです。今回ももちろん行きたいと思っています。


松本 幸四郎
 博多座は7年振りで、今から胸がワクワクしております。山城屋の兄さん、菊五郎さんというこの絶妙な座組みで、博多座の舞台の上でしか味わえないような楽しさ面白さを皆さんにお届けしたいと思います。

 昼の部は『加賀鳶』の梅吉・道玄、夜の部は『仮名手本忠臣蔵 七段目』の由良之助を勤めます。『加賀鳶』は私のおじの十七世中村勘三郎、二世尾上松緑がよく勤め、私も居並びでよく出ておりました。『七段目』の由良之助も父の松本白鸚がよく勤めていて、どちらも縁の深いお役です。

 私共俳優は、いかなる時でも芸を舞台でお見せして、皆様にひとときでも心の憂さを晴らして楽しんでいただきたい、そういう気持ちを持っております。この6月の博多座でも、ご覧になったお客様が席を立つときに「あっ来て良かった、楽しかったわね、ホッとしたわね」というような気持ちになってくださるような舞台をお目にかけたいと思います。是非「六月博多座大歌舞伎」においでくださいますよう、心よりお待ちしております。

《六月博多座大歌舞伎 関連イベント》

■船乗り込み
5月29日(日)13:00~14:40予定
キャナルシティ博多での乗船式典の後、清流公園から博多リバレインまで博多川を下り、博多リバレイン・フェスタスクエアにて式典を行います。

■着物の日
6月12日(日)昼の部・夜の部とも
着物でご来場のお客様全員にプレゼントを差し上げます。
また無料の着付けサービスも行います。(事前申し込み先着30名限定)

詳しくは博多座ホームページをご覧ください。

2011/04/15