「四国こんぴら歌舞伎大芝居」猿之助襲名披露公演を語る

四国こんぴら歌舞伎大芝居
 4月6日(土)から、香川県の旧金毘羅大芝居(通称 金丸座)で始まる「第二十九回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」において、襲名披露を行う猿之助と、出演者の門之助、右近、笑也、猿弥、笑三郎、春猿、月乃助が、製作発表会見で公演への思いを語りました。

市川猿之助

猿之助として初のこんぴら歌舞伎
 昨夏から始まった襲名披露公演の一つである今年のこんぴら歌舞伎。当の猿之助は3年ぶり3度目の出演とあって、「金丸座は地元の人々も含めたいへん素晴らしい。(お練りの)紙吹雪が気持ちいい!」と絶賛、平成22(2010)年『敵討天下茶屋聚』上演の際、「大道具の作り直しをお願いしたところ、皆さん連携プレーで、裏山の竹を切り出して30分で用意してくださった」というエピソードも披露しました。

 2年ぶり2回目の出演となる門之助は「お客様とともに芝居をつくる体験を味わいたい」、同じく出演2度目の猿弥は「何が楽しみと言って、お練りがよかった」と、こちらも琴平町の温かい"おもてなし"への感謝と、出演できるうれしさを語りました。

 初出演組は「四代目猿之助襲名の晴れやかな舞台に花を添えられれば」(右近)、「温泉が大好きなので楽しみ」(笑也)、「念願かなっての初お目見得。責任をもってしっかりやりたい」(笑三郎)、「舞台に立てる楽しみでわくわくしている」(春猿)、「長年の夢がかなってうれしい」(月乃助)と、29回目の歴史あるこんぴら歌舞伎に出演する喜びと期待を、言葉と笑顔で表しました。

大役、初役、初挑戦
 幕開きは『鳥辺山心中』。猿弥が、金丸座は客席が近いため、「緊張することがある。せりふが飛んでしまわないか心配」と笑わせると、笑三郎は「近い分、一体感が増すのでは。初役のお花で出たときのお客様の反応も楽しみ」、春猿は「お染というあまりの大役に緊張していますが、きっとお客様が熱や息遣いでフォローしてくださる」と、三者三様の答えが返ってきました。

 猿之助が宙乗りを見せる「四の切」では、「国の重要文化財なので釘も打てないなか、どうやってお客様に楽しんでいただけるか試行錯誤中」とのことで、他劇場とは勝手の違う金丸座ならではの工夫があるようです。また、「ケレンに目が行きがちですが、より内面性が強調できる」と猿之助。こんぴら歌舞伎ならではの忠信が見られそうです。また、駿河次郎役の月乃助は「20年前、三代目(二代目猿翁)に抜擢された役で、今度は四代目とこんぴらでできて光栄です」と、巡り合せに感謝しました。

 夜の部の『京人形』では、右近が「大劇場にはない臨場感のある金丸座で、(人形が動き出すという)ファンタジーのある芝居に、お客様がどう反応してくださるか楽しみ」と言えば、人形役の笑也は「瞬きできないので、目のウルウル感を見ていただきたい」と、距離感の近い芝居小屋ならではの観劇の面白さをアピールしました。

 『奥州安達原』は三代目が、金丸座と同じく昔ながらの風情を残す相生座(岐阜県)の松本団升さんのやり方を取り入れています。当代猿之助も「巡業公演の八千代座、内子座、相生座でもやりましたが、お客様の反応が非常によかった」と好印象。門之助も「舞台でひとつ高いところにじっとしていても、芝居の熱が伝わってきた。金丸座でもお客様に熱が伝わり、効果的に見ていただけるのでは」と当時を振り返りつつ、二人ともに今回の上演に大きな期待を寄せました。

 「一番新しい劇場(4月に開場する歌舞伎座)と古い劇場(現存する日本最古の芝居小屋)で、同時に歌舞伎をやっている...。そこが歌舞伎の魅力」と猿之助が締め、会見は終始和やかな雰囲気で終了。出席者のほかに秀太郎、段四郎、愛之助、竹三郎らが出演する「第二十九回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」チケットWeb松竹チケットホン松竹でのチケットの発売は2月25日(月)です。

2013/01/31