【上映延長】シネマ歌舞伎『怪談牡丹燈籠』を歌丸さんが語る

桂歌丸

 7月6日(土)から12日(金)まで、全国27館で上映される≪月イチ歌舞伎≫第5弾 『怪談牡丹燈籠』。上映開始に先立ち、落語家の桂 歌丸さんにお話をうかがいました。

※7月13日(土)からの上映延長決定!
 詳細は記事の下をご覧ください。

 「吉之丞さんの幽霊は"絶品"! 声や形をまねさせていただいています」。今回シネマ歌舞伎で上映される『怪談牡丹燈籠』は、圓朝の怪談噺が歌舞伎になったものですから、歌丸さんが高座にかけることもたびたびあります。そのとき参考にしているのが、歌舞伎で幽霊のお米役を勤める吉之丞の演技だそうです。

 歌丸さんは十代の頃から歌舞伎に通い、大の歌舞伎ファンとしても有名です。「(五代目古今亭)今輔師匠に弟子入りしたとき、とにかく歌舞伎を見ろと言われまして。師匠は理由をおっしゃらず、ただ見ろとだけ...。今思えば、せりふの間、鳴物のきっかけ、そして形を見ろということだったんです。我々は扇子と手拭いでいかに上手に嘘をつくかが商売ですから」。熱心に舞台を見ては仕草や言い方をまねしてきた歌丸さんは、自分の弟子たちにも歌舞伎を見るようにと教えています。

『怪談牡丹燈籠』

 「たとえば、海音如来も手拭いを開いてお厨子を表し、如来に見せなくてはいけません。言葉を聞いて絵が浮かぶだけではなく、浮かんだ絵に色がついてないとだめなんです」。歌舞伎なら小道具一つで表せるところ、落語は手拭いと技で見せます。また、発端の大川の舟の場では、「私は、伴蔵に舟を漕がせているんです。お露の寮まで行く間に<佃の水音>を入れ、伴蔵にいろいろ言わせています」。無言で見せるシーンを利用して、イメージを膨らませてもらうようにしています。

 落語では、「ざっくり斬りつけました」のひと言で終わるお峰殺しのくだりですが、歌舞伎だと「歌舞伎ならではの演出」と歌丸さんの言う美しい決めの形の連続で、壮絶な殺しが一つの見せ場にまでなっています。一方、伴蔵の浮気を疑うお峰が馬子の久蔵に探りを入れるところは、「落語ではもっとじっくり聞き出すところ」となります。「それぞれの違いを見聞きして楽しんでもらえるといいですね」。

 歌丸さんは長年の歌舞伎座通いで、歌舞伎俳優との親交も生まれました。「(三世)権十郎さんや(九世)宗十郎さんに教わりに行ったり、お二人が国立演芸場に来てくれたりしました。権十郎さんが『髪結新三』の弥太五郎源七について"今度、教えてあげたいことがある"と言っていたのに、教われずじまいになったのが残念」と、懐かしみます。落語と歌舞伎、二つの世界を軽やかに行き来する歌丸さんの話は尽きることがありませんでした。

 歌丸さんが「神様」と呼ぶ圓朝。15日には「圓朝祭」で『真景累ヶ淵』より「勘蔵の死」を歌丸さんが口演します。この夏はぜひ、歌舞伎で、落語で、圓朝の魅力を堪能してください。シネマ歌舞伎≪月イチ歌舞伎≫ 『怪談牡丹燈籠』は7月6日(土)~12日(金)の期間限定上映、お見逃しなく。

 チケット発売や上映時間などは、各上映館のサイトでご確認ください。
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※7月13日(土)からの上映延長決定!
・ミッドランドスクエアシネマ(名古屋市) 052-527-8808
9:20/12:20

・MOVIX三郷(埼玉県) 048-949-2300
13:30(土・日・月)/13:00(火・水・木・金)

・MOVIX清水(静岡市) 054-355-1400
11:15(土・日・月・火・水・金)/16:20(火・水・木・金)

シネマ歌舞伎『怪談牡丹燈籠』予告編動画はこちら

2013/07/11