博多座「KABUKI NIGHT」で『伊達の十役』を大アピール

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 2月14日(土)、博多座で「KABUKI NIGHT(カブキ ナイト) Vol.9」が開催され、市川染五郎、片岡孝太郎、市川右近、尾上松也、大谷廣太郎、中村米吉、中村隼人が登場しました。また、昼の部終演後には「バレンタインデー スペシャルイベント」も行われました。

 夜の部休演の14日、博多座で行われたのは「KABUKI NIGHT Vol.9 ~バレンタインデイ特別編・KABUKI愛に染まらナイト~」。2003年のVol.1から9回目を迎える人気の博多座イベントながら、今回は5年ぶりの開催とあって、「二月花形歌舞伎」出演者の七人の気合も特別です。

 花道から自分で選んだテーマ曲をバックに一人ずつ舞台に上がった七人。染五郎が司会となって、まずはスクリーンに映し出された『伊達の十役』の扮装写真を見ながら、トークが始まりました。「一人十役もやっていて、一人芝居ではないって珍しいですよね」と染五郎が言えば、「その分、僕らの出番が少ない」と右近。「僕なんか出番が3分、しかも十役に絡んでいない!」と隼人。スタートから会場がどんどん熱を帯びてくるのがわかります。

 「政岡って本当に素晴らしい役です」(染五郎)、「女方の最終目標です」(孝太郎)、「師匠の猿翁も政岡に力を注いでいました」(右近)、「いつかは政岡をと思って沖の井をやっています」(孝太郎)、「八汐は實川延若のおじ様の河内屋型なんです(鏡を使って政岡の様子をうかがう)。ある種の“悪を楽しむ”ところをお見せできればと」(右近)といった話も出て、舞台を思い出しながらうなずくお客様の姿も見られました。

 「十役の次に出番が多い民部之助ですが、早拵え(はやごしらえ)の間の出番が多いんです」と話したのは松也。「足音を聞きながら、せりふの終わりを微調整します。仕度なさっているほうは待ちたくないでしょうし」と言われた染五郎が、「拵えができたら早く出たい気持ちもあります」と答えると、「師匠の猿翁はよく後ろで“もうできてるよ!”と言ってましたね」と右近も続けました。

 「十役の周りできちっと芝居を形成していかないと、芝居全体が成立しない。チーム全体でつくり上げないといけない芝居だと思います」(松也)と、『伊達の十役』ならではの舞台裏の話も飛び出しました。

博多座「KABUKI NIGHT」で『伊達の十役』を大アピール

 トークの後は、隼人の楽屋入りから出演が終わって帰るまでを写真で紹介。続いて、事前に行ったQ&Aのコーナー「ソメトーーク!」では、七人の本音が飛び出し、素顔がのぞくひと言ひと言に、会場は笑いの渦に包まれました。

 そしていよいよメインイベント。「この日のために、バレンタインを題材にした寸劇をつくりました」と切り出した染五郎は、出演の若手3人が準備する間を松也と二人でお笑いネタの「ラッスンゴレライ」でつなぎ、客席も手拍子で盛り上がったところで、米吉、隼人、廣太郎が熱演を見せました。

 しかも、現代劇版に続き、染五郎が自前の道具を持ち出してツケを打ち、大向うから声もかかって歌舞伎版も上演。着流し姿で海老反りを見せるお米、見得をする隼人之助と廣太郎左衛門、三人のだんまりもあって、割れんばかりの拍手が送られました。

 最後は、1階の客席を七人が練り歩いて公演をアピール、「楽しいひととき、いただいたパワーで、残り半分も頑張ります!」と、それぞれが感謝の気持ちと公演後半への意気込みを語りました。サービス精神あふれる出演者が、会場をおおいに盛り上げたこのイベント、お帰りのお客様も笑顔がいっぱいで、公演の魅力は十分に伝わったようでした。

博多座「KABUKI NIGHT」で『伊達の十役』を大アピール

 また、この日の昼の部終演後には「バレンタインデー スペシャルイベント」として、染五郎、松也、廣太郎、米吉、隼人に、抽選で選ばれたお客様がチョコレートをお渡しするイベントも行われました。長崎や佐賀、鹿児島、東京からわざわざ手渡しにご来場くださったお客様には、五人それぞれが用意したお返しがプレゼントされました。

  博多座「二月花形歌舞伎」は26日(木)までの公演。チケットは、博多座にて販売中です。

博多座「バレンタインデー スペシャルイベント」

お客様からのチョコレートを手にする隼人、廣太郎、染五郎、松也、米吉

2015/02/17