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菊之助、七之助が語る、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』

菊之助、七之助が語る、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』
 

 12月6日(金)から25日(水)まで、新橋演舞場で行われる新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』に出演の尾上菊之助、中村七之助が、演出のG2、鈴木敏夫スタジオジブリ代表取締役プロデューサーとともに、作品について語りました。

 今年12月、宮崎駿の原作漫画「風の谷のナウシカ」全7巻を昼夜通しで上演する、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』が誕生します。原作をもとに、「風の谷のナウシカ」に描かれている世界をお客様に伝えたいという、製作、出演者、スタッフの思いが詰まった作品となりそうです。

 

菊之助、七之助が語る、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』が誕生

 新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』は、ナウシカを勤める菊之助の「風の谷のナウシカ」をぜひ歌舞伎として上演したい、という強い思いから実現しました。菊之助は「今後、海外のお客様も増え、日本の方も、さまざまな面で日本の文化を感じていただける機会が増えると思い、何か新作歌舞伎をつくれないか、と考えていたことがもともとの出発点でした」と説明しました。

 

 「風の谷のナウシカ」を上演したいと思った理由について、「テレビでアニメーションを見て、絵の力、ナウシカという女性がもっている力強さ、そして可憐さに惹かれました。そのあと、原作を読んだときに、その深いテーマ性、壮大さと魅力に、ますます惹かれていきました」と語った菊之助。「テーマの普遍性が一本貫かれている。そのテーマの壮大さ、重たさというものが歌舞伎と融合したときに、どういうものになるのか、どんな化学反応を起こすのか楽しみ」と意欲を見せました。

 

菊之助、七之助が語る、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』

 クシャナ役で出演する七之助は、菊之助から「風の谷のナウシカ」を歌舞伎でやるので出演してほしいと言われ、「純粋に驚きました」と切り出しました。「断る理由はどこにもないな、と思い、即答です」と、出演を快諾したことを明かし、さらにクシャナを演じることについては、「素晴らしい役ですし、大好きなキャラクターの一人だったので、なおさら断る理由がなかった」と力強く語りました。何度もアニメーションで見てきた「風の谷のナウシカ」を、「私たちのホームである歌舞伎でやらせていただくということ、本当にうれしく思います。役者、演出家、全員で素晴らしい作品にするために、一所懸命励みたい」と気を引き締めました。

 

 

 

歌舞伎ファンにも、ジブリファンにも納得していただける作品を

 鈴木敏夫スタジオジブリ代表取締役プロデューサーは、「今回僕らは原作を提供する。その原作が歌舞伎としてどのようになるのか、期待する立場」であると言います。また、「風の谷のナウシカ」は宮崎監督が「本当に精魂込めて、彼(宮崎監督)の思っているものをすべてぶつけた作品だった。彼の中心にあるのは、このナウシカでした」と、長年宮崎監督の側で作品を作り続ける鈴木氏だからこそわかる、宮崎監督の「風の谷のナウシカ」に対する思いを伝えました。宮崎監督の思いを知っていた鈴木氏は「風の谷のナウシカ」の歌舞伎舞台化について、「彼は嫌がると思っていた。ところが今回に限っては、やる、と。やろうよと、そう言ってくれた」と貴重な裏話を披露しました。

 

菊之助、七之助が語る、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』

 さらに、鈴木氏は自身が新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』のために新たに書いた題字に関して、「歌舞伎の世界に近づけたロゴはできないかと、そんな考えで書きました。この新しいロゴも、いろいろな方に愛されるといいなと思っています」と、温かい言葉で語りました。

 

 菊之助は、「古典歌舞伎として、『風の谷のナウシカ』のタイトルを変えずにやるのであればやってもいいとご了承いただいたときの興奮を胸に、ジブリの作品に寄り添い、歌舞伎ファンの方にも、ジブリファンの方にも納得していただける作品にしたい。宮崎監督が大事にされているもの、スタジオジブリさんが大事にされているものを預けていただいたという責任を非常に感じております」と、心の内を明かしました。

 

古典歌舞伎と原作漫画「風の谷のナウシカ」の融合

 今回演出を勤めるのは、たびたび歌舞伎の演出も手掛けているG2。新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』に携わることについて、「大変光栄であり、非常に責任を感じております」と本音をのぞかせました。できるだけ古典歌舞伎の手法でやりたいと菊之助から言われたと語り、歌舞伎と原作漫画「風の谷のナウシカ」が「融合されることで、どういう反応が起きるかをしっかり皆さんにお届けできるように、知力と気力と体力の限界になるまで、頑張りたい」と意欲を見せます。

 

菊之助、七之助が語る、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』

 本作の演出について「あくまで歌舞伎という手法にのっとってやりたい。昨今の現代風の手法ではなく、いかにも歌舞伎的な手法を」と述べたG2。原作に登場する王蟲や巨神兵、空を飛ぶシーンなどはケレン味をしっかり出すとのこと。また菊之助も、原作で頻出する空を飛ぶシーンに関して、「江戸時代から考えられてきたあらゆる工夫を駆使して、(歌舞伎の)古典の手法を使って、どうしたら疾走感を出せるのか」考えていると言います。

 

 菊之助は、音楽も「古典に準じていこう」と考え、「久石譲さんがお作りになった曲を何曲かお借りして、それを和楽器で編成する」ために、現在打ち合わせを重ねているとのこと。衣裳などの細かい部分については、「どこまで原作のキャラクターに寄り添っていくか。主要人物であるナウシカやクシャナは、登場してすぐにこれはナウシカだな、とお分かりいただけるようにしたい」と、さまざまな構想を明かしました。

 

皆様に愛される作品に

 新作歌舞伎として新たな挑戦となる『風の谷のナウシカ』。原作の世界観を大切に、作品に登場する固有名詞や役名も変更せず、すべてそのまま使われる予定です。今回の新作歌舞伎は、「原作の1巻から7巻を忠実に描いている」と語る菊之助。「どのように歌舞伎味を出していくか。古典歌舞伎と、皆さんご存知の作品の合流地点を探すのが大変です。課題は盛りだくさんですが、この作品が大好きな人たちが集まっていますので、きっと良い意見を出し合って、良い作品になっていくと思っています」と、熱を込めました。

 

 七之助も、歌舞伎で「風の谷のナウシカ」を上演するにあたり、難しいところ、大変なところを問われると、「すべてでしょうね。映画版は10回ほど拝見していますが、先日テレビでアニメーションの放送を見ていたとき、このシーンどうやってやるのだろう、という思いでしたので、苦しかったです。でも、この苦しみは良い苦しみなのかなと。この仕事をさせていただかないと味わえない苦しみで、それが成功したときに喜びに変わる。それを楽しみにやるだけですね」と力強く語りました。

 

 最後に、「お客様に新作歌舞伎を楽しんでいただけるように、力を合わせて作り上げていきたい」と菊之助が意気込みを見せると、七之助も、「素晴らしい作品になるように勤めるだけ。お客様に楽しい作品だったと思っていただけるように、一所懸命やらせていただきます」と続けました。会見中、携わっているスタッフ全員が、「風の谷のナウシカ」を愛していると語った菊之助。言葉の通り、関わる全ての人の熱い思いが強く伝わり、公演への期待がふくらむ会見となりました。

 新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』は、12月6日(金)から25日(水)までの公演。チケットは、10月19日(土)より、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売いたします。

 

菊之助、七之助が語る、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』

 左から、G2、中村七之助、尾上菊之助、鈴木敏夫スタジオジブリ代表取締役プロデューサー、安孫子正松竹株式会社代表取締役副社長

2019/10/09