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七之助が語る、歌舞伎座『京人形』

七之助が語る、歌舞伎座『京人形』

 

 10月2日(金)に初日を迎えた歌舞伎座「十月大歌舞伎」第一部『京人形』に出演中の中村七之助が、演目や歌舞伎座への思いを語りました。

七之助が語る、歌舞伎座『京人形』

 

8月の公演を終えて

 およそ5カ月間の休演を経て、歌舞伎座は8月より、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を徹底しながらの公演を続けています。七之助は今月、「八月花形歌舞伎」に続いての出演。まずは8月の公演を振り返り、「千穐楽を迎えられると思っていなかった」と、率直な感想を口にします。「無事に千穐楽を迎えられて、『すごいことだね』と、皆で噛みしめた1カ月でした。9月も無事千穐楽を迎え、今月、また出させていただける。2カ月間、一人も感染者が出ていないことは、本当にすごいこと」と、継続して興行を行うことができる喜びを語りました。

 

 自粛期間を経て、「歌舞伎は舞台美術があって、照明、床山、衣裳があっての総合芸術」であることや、「お客様が来てくださらなかったら成り立たない。皆様のおかげ」と、改めて感じたという七之助。知人からの「歌舞伎は“不急”だけど“不要”ではない」という励ましの言葉を胸に、「そこがやる意味なんじゃないかな。(お客様が)一人でも来てくださるなら」と、舞台に懸ける決意を込めます。

 

七之助が語る、歌舞伎座『京人形』

 『京人形』中村七之助

試行錯誤して作り上げる京人形の精

 第一部では舞踊劇『京人形』が上演され、七之助は5年ぶりに京人形の精を演じています。「わかりやすいですし、ほっこりするような踊りで、歌舞伎初心者の方にも面白い演目だと思います。最後に立廻りもありますし、さまざまなジャンルの人物像も見られて、華やかな作品です」と、作品の魅力を表現します。

 

 京人形の精は、人形の男らしい動きと傾城の女らしい仕草の踊り分けがみどころの一つですが、演じる俳優によってその踊り分けの幅が異なり、「難しい踊り」だと言います。「古典だと目指すものがありますが、この京人形の精は、人形振りとも違うし、つかみどころがない分、自由度が高いんですよね。いろいろなやり方があっていいと思いますし、毎日、試しています」と、試行錯誤を繰り返していることを明かしました。

 

 また、おじの中村芝翫と『京人形』での共演はこれが初めてですが、「初めてという感覚はないですね」と笑顔。「やはり同じ血が流れているというか、一回踊れば、なんとなくわかります。ここにいったら居心地がいいだろうな、とか。安心してやっています」と語る様子からは、日々の公演の充実感がうかがえます。

 

生の舞台の面白さを

 女方の芸について話が及ぶと、「もちろん容姿の美しさもありますけれど、それは心から染み出た美ですので。やはり一番は心」と七之助。「心がその役になっていることが、立ち姿や振る舞いが美しい理由だと思うので、そこは毎回気を付けて、考えながらやっていきたい」と、意気込みます。また、型を大切にしながら、お客様からは見えないところまでも追求していくことが歌舞伎の一番の楽しみだと語り、女方の芸への深い思いをにじませました。

 

 配信による公演も増えてきた昨今の情勢を踏まえながらも、「配信に関しては、何をしながら観てくださってもいい。ささやかな喜びでいいと思っています。でも、生の舞台は、いい意味で、ちょっと緊張してほしいんですね。朝(劇場に来る前に)わくわくして、観て、知り合いと感想を話して、そうやって一日が終わるというのが生の舞台の面白さだと思うので。今月の舞台で、歌舞伎座の雰囲気を楽しんでいただけたら」と、劇場公演ならではの魅力をアピールし、穏やかな口調で締めくくりました。

 歌舞伎座「十月大歌舞伎」は、27日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。 

2020/10/09