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大阪松竹座「七月大歌舞伎」出演者が「船乗り込み」

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 6月28日(日)、大阪松竹座 「七月大歌舞伎」出演者が「船乗り込み」を行いました。

 梅雨の合間の青空が広がり、川面を渡る風が気持ちのよい八軒家浜には、式典の1時間以上も前から熱心な歌舞伎ファンが詰めかけ、俳優の登場を待ちわびています。そろいの浴衣で一同が着席して式典が始まり、口上のあとに大阪府知事、大阪市長からの祝辞が読み上げられました。さらに、昭和54(1979)年、関西で歌舞伎を育てる会の第一回公演の折に、55年ぶりの復活を遂げた船乗り込みが、どれだけ大阪の大切な行事であるかがうかがえる関係者のご挨拶が続きました。

 出演者として最初に挨拶に立った仁左衛門が、大阪の皆さん、歌舞伎ファンへの感謝の言葉を重ねたうえで、「東京に負けないほど、関西でもっともっと歌舞伎が開くようにしたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます」と力強く呼びかけると、一段と大きな拍手が沸き上がりました。大阪にお馴染みの俳優にはうれしい限りの歓迎ぶりで、秀太郎は「家が大阪なので、地元松竹座に出せていただくことがうれしい。一所懸命頑張ります」と喜びました。

 3年ぶりの「七月大歌舞伎」出演という歌六は「三代目歌六までは上方の俳優、祖父三代目時蔵も大阪の生まれ、ルーツの土地で芝居をさせていただくことが誠にありがたくうれしい」とご挨拶。時蔵は昨年に引き続いての出演で、昼夜に渡り仁左衛門の相手役です。「息の合った一座で暑さを吹き飛ばすような熱演をいたしますので、千穐楽まで賑々しくご来場ください」といっぱいの笑顔で語りかけました。

 錦之助の「素顔ではなく、白く塗った錦之助も観に来てください」にどっと沸き、「こんにちは! 今回の昼の部は久しぶりに立役。ぜひ見に来てください」と話しかけた孝太郎に、行きます!と声がかかるなど、会場は終始大賑わい。「先祖が関西の俳優だったので大阪は第二の故郷」と言う家橘の「どうぞ鬘を被った姿を観に来てください」には、さらに大きな笑い声が起きました。

 高麗蔵はなんと7月出演は28年ぶりとあって、「お久しぶりでございます。立役、女方、いろんな顔で出てきます」とアピール、一方、男女蔵は「2カ月連続の大阪松竹座は人生初、頑張ります」と意欲を見せ、関西にルーツのある由次郎は「縁の深い先祖の土地、どうぞよろしくお願い申し上げます」と、親しみを込めました。

 米吉と隼人の二人は昼夜で夫婦役を勤めます。「この座中では若い二人です。おじ様たちに負けないように頑張ります」と米吉が元気よく挨拶し、隼人も「大きなお役、精一杯勤めさせていただきます」と意欲的に語って激励の拍手を浴びました。「嵐は大阪の名前ですが私一人となってしまいました、よろしくお願いします」と語ったのは橘三郎で、松之助は「半年ぶりに大阪に帰ってまいりました」とご挨拶し、それぞれ地元からの温かい拍手に感謝しました。

大阪松竹座「七月大歌舞伎」出演者が「船乗り込み」


 手締めのあと、14名の俳優たちが乗り込んだ船が道頓堀川に入り、戎橋のたもとで再び口上が始まった頃には、両岸を埋め尽くすように人が集まりました。俳優の名前が読み上げられるごとに屋号のかけ声が飛び交い、にこやかに応える俳優たち。人垣をかき分けるようにして大阪松竹座に入ったあとは、劇場前で花束贈呈とご挨拶が行われました。

 最後にお待ちかねの撒き手拭いが行われ、仁左衛門の発声でお集まりの皆さんとともに大阪締めでお開きに。天候に恵まれた今年の「船乗り込み」も終わり、あとには幕開きが待ちきれないお客様の期待の笑顔だけが残りました。

 大阪松竹座「七月大歌舞伎」は7月3日(金)より27日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて販売中です。

大阪松竹座「七月大歌舞伎」出演者が「船乗り込み」

2015/06/30