パリ・オペラ座公演レポート第一弾

團十郎をはじめ出演者がオペラ座で会見

 パリ、オペラ座ガルニエでの歌舞伎公演が3月23日に盛況の初日を迎え、翌24日に市川團十郎、市川段四郎、市川海老蔵、市川亀治郎が顔を揃えての記者会見が行われました。会見場となったオペラ座の客席に姿を現した4人は、引き締まった表情で前日の初日公演に確かな手応えを感じている様子です。

 團十郎の「3月23日昨日、パリ・オペラ座ガルニエでの歌舞伎公演が無事に行われました」という報告から会見はスタート。そしてこの初日を「歌舞伎にとって歴史的な1ページ」と表現しました。
「今まで経験したことのないプレッシャーを味わった」という團十郎は、「舞台に立っていると歴史の持っている重さというものが、ぐーっと詰め寄ってきます。(役者は)それを受け止め、『勧進帳』の弁慶と富樫のように両方で詰め寄っていかなければならでないと感じました」と実感のこもった表情。

 その言葉を補足するかのように、段四郎は次のように語りました。「歴史あるこの劇場には演劇の神様が住んでいるかのよう。歌舞伎座には歌舞伎の神様が住んでいると思っていますが、それに匹敵するようなものを感じるすばらしい劇場だと思います。舞台に出ていると圧倒されることがあり、それに負けまいとこちらも一生懸命になります」。

 海老蔵は歴史ある劇場の持つ不思議な力を存分に感じながら「雰囲気というものに一歩でも呑まれてしまうと終わってしまう危機感をこの劇場は醸し出してくれます。が、そんなことは言っていられないので、頑張ります」と、果敢な姿勢。

 ミュージカル『オペラ座の怪人』の大ファンだという亀治郎は、ミュージカルの舞台装置でよく見知っていた劇場での公演に「舞台に立っていて天井画が目に入りますと、本当に本物のオペラ座でやっているのだなという実感がわいてきます」とコメント。

 この公演では『勧進帳』『口上』『紅葉狩』が上演されていますが、『勧進帳』は弁慶と富樫を團十郎と海老蔵がダブルキャストで演じるという配役となっています。花道がない劇場での『勧進帳』、飛六方による弁慶の引込みは下手(舞台向かって左側)に入る演出となりました。

 ところが、舞台と客席とに距離を感じたという海老蔵の「どうしても花道を通りたい」という強い希望により、海老蔵バージョンだけ本舞台から張り出した短い花道を経て客席通路を引っ込むという演出に変更。本舞台から花道に降りるには段があり、通路は昇りスロープ、そして引っ込んだ場所は急階段。この状況での飛六法は「肉体的にものすごくハードですが、あきらめたくなかった」と海老蔵。そして「お客様の少しでも近くに行きたかったというのが率直な思いです」と、その理由を付け加えました。

 会見ではこのほかにもさまざまなことが語られました。それらにつきましては、実際の舞台の様子がどのようであったかを交えながら改めてレポートします。

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2007/03/29