永楽館お披露目 柿落公演を前に

永楽館お披露目 柿落公演を前に

 兵庫県豊岡市、そば処としても有名な出石(いずし)町で現在復元工事中の永楽館。明治34年に建設され、近畿地方に現存するただ一つの芝居小屋として豊岡市の指定文化財とされている歴史的価値の高い芝居小屋です。平成20年8月の永楽館柿落大歌舞伎を前に、マスコミや地元の方々を招いて、現場見学会がおこなわれました。

 外観、劇場内部ともに、ほぼ完成に近い状態でのお披露目とあって、定員368名の劇場は地元の方々でほぼ満席。花道、廻り舞台、照明類は美しく復元され、敷き詰められた新しい畳の香りが場内を包みます(なんと床暖房付き!)。天井の両脇には開館当時にもあった広告が復元され、明治・大正時代のロマンが場内に漂います。

永楽館お披露目 柿落公演を前に

 写真左:復元された美しい広告 写真右:かわいい水色の窓

  今回の復元工事の大きな特徴は、永楽館が芝居小屋として一番華やかだった頃の大正11年頃の姿に再現されている事です。幾度かの修復で白壁になっていた外壁も、大正の頃と同じ中塗り仕上げで味のある茶系の色に戻されました。

 窓にもこだわりがあります。劇場が作られた時、小学校の窓が転用されて使われていたため、色が水色!和風な建物に青い洋風の窓が少しミスマッチなのですが、これが逆に印象的で人々の記憶に強く残っていたそうです。今回復元された水色の窓もとてもかわいらしい感じがします。

 現場見学会では、市の職員の方や設計の方からの建物の説明、音響、照明、舞台装置の工事をした方々からの機能の説明、そして廻り舞台やせり、すっぽんなども実際に動されました。人力で動くため「うごかすよ~」と舞台の下に声をかけるシーンも見学会ならでは(?)和やかな雰囲気の中、小さな子供がすっぽんから登場すると、場内は大きな拍手に包まれました。

永楽館お披露目 柿落公演を前に

 写真左:復元工事に携わった大工さん 写真右:すっぽんからの登場で大歓声!

  最後に、この復元工事に携わった大工さんたちの工事の思い出話が披露され、この劇場が地元の方々そして復元工事をされた職人さんたちにも、深く愛されている事が強く伝わってきました。多くの方に愛されて柿落としを迎える永楽館。出石の新しいシンボルとなる芝居小屋で行われる永楽館柿落大歌舞伎が今から楽しみです。

永楽館ホームページ

永楽館お披露目 柿落公演を前に

 写真左:奈落で廻り舞台を見学 写真右:舞台のすぐ裏にある楽屋

永楽館お披露目 柿落公演を前に

2008/07/02