写真集『歌舞伎座』撮影 安齊重男氏インタビュー 「歌舞伎座はまさに一つの生き物のよう」

 9月1日に出版された「写真集 歌舞伎座」が大きな話題を呼んでいます。この写真集は来年4月興行をもって、建替えのため休場する歌舞伎座の姿をとどめおくために、国際的アートドキュメンタリストとして名高い安齊重男氏に依頼して制作したものです。掲載総点数190点、138頁立てで、歌舞伎座の今の姿を克明に追っています。出版にあたり安齊氏にお話をうかがいました。

【アート・ドキュメンタリスト 安齊重男氏インタビュー】

▼歌舞伎座を撮ろう、と決めた理由は?
安齊氏:私は、世界中のアーティストや歴史的な建築物を写真に記録してきましたが、その中で、慶應大学三田校舎内のイサム・ノグチがデザインした『萬來舎』の解体・移築の記録写真を撮影する仕事をさせてもらった事があるんです。それが、今回につながったのかなと。


▼撮影することになって、歌舞伎座の印象は変わりましたか?
安齊氏:歌舞伎座には何度か来たことはあったのですが、改めていろいろなところを見てまわりました。特に印象的だったのは、"建物"自体は勿論ですが、歌舞伎座の中では、それぞれの役割を持った沢山の人たちが働き続けていて、まるでたくさんの担ぎ手が歌舞伎座という神輿を担いでいるようなもの。そんな人たちによって長い間受け継がれて来た、ある種の文化遺産のような感じが在ると思いました。そのうち、この歌舞伎座の全体像を記録できればすごいことになるんじゃないか、という好奇心が湧いてきて、歌舞伎座の日常の、なかなか覗けない臨場感ある風景を切り取ってみたい、と。そのために舞台裏や楽屋や奈落、天井の裏など歌舞伎座のすみずみまで行って撮ったんです。

写真集『歌舞伎座』撮影 安齊重男氏インタビュー 「歌舞伎座はまさに一つの生き物のよう」

▼俳優の"日常"の姿もおさめられています。
安齊氏:出番を前に楽屋で支度をする様子、すっぽんからセリ上がるその瞬間、揚げ幕の中で化粧をしている最中など、普段は見ることが出来ない俳優さんの姿を切り取ることができたように思います。撮り始めた頃、偶然2枚の写真にそれぞれ"静"と"動"が写っていたんです。それがとっても面白かったので、"静と動"というコンセプトとして、俳優さんの日常の姿をフィルムにおさめていきました。


▼撮影を振り返って、改めて思うことは?
安齊氏:歌舞伎座はまさに一つの生き物のよう。俳優さんもスタッフも、働いている人たちは皆プライドを持って仕事をしているし、その集合体として歌舞伎座は存在している。そんな皆さんの気持ちも含めて写真に残したい、という思いから歌舞伎座に通い続けました。振り返ってみると、大変な仕事でしたけど、すごく面白い仕事をさせてもらったし、良い作品に仕上がっているという自信があるので、出来るだけ多くの人に手に取って頂けたら嬉しいですね。


「写真集 歌舞伎座」は、歌舞伎座で発売中です。
歌舞伎座インターネットショップ「かおみせ」でも購入いただけます。
ご観劇の記念にお求めくださいませ。

■定価
 2,500円(税込)

■サイズ、ページ数
 B5判/カラー138ページ

■発行日
 2009年9月1日

■著者
 安齊重男

■編集・発行
 松竹株式会社

※数量限定販売の為、なくなり次第、販売を終了させていただきます。

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2009/09/23