平成中村座十二月大歌舞伎 菊之助が意気込みを語りました

平成中村座十二月大歌舞伎 菊之助が意気込みを語りました

 12月2日(金)から26日(月)まで隅田公園内で開催される「平成中村座 十二月大歌舞伎」。昼の部で『菅原伝授手習鑑 車引・賀の祝』の桜丸、『寺子屋』の武部源蔵、夜の部で『積恋雪関扉』の傾城墨染実は小町桜の精、『松浦の太鼓』の大高源吾を勤める尾上菊之助が公演への意気込みを語りました。

尾上菊之助
 中村勘三郎のお兄様と食事をご一緒した時に、自分の思いを伝えさせていただいたことが今回の公演につながりました。父(尾上菊五郎)の理解も得て、私の思い描いていた夢が12月の平成中村座で実現します。本当に挑戦です。お兄様の胸を借りて体当たりで勤めさせていただきたいと思っています。

 『菅原伝授手習鑑』は三大狂言のひとつといわれるほどですから、やはり難しいです。桜丸は祖父(七代目尾上梅幸)、父も手がけており、桜丸の持っている柔らかさ、白太夫との親子の情愛を描きたいと思っています。武部源蔵は、切羽詰まった緊迫感がなければなりません。時代物での立役の大きなお役は初めてですので今から身の引き締まる思いです。

 『積恋雪関扉』の墨染は祖父も手がけている常磐津の大曲です。古典の味と芝居味を大事にした踊りを勉強したいと思っています。『松浦の太鼓』の大高源吾は、みすぼらしいなりをしているけれど元は武士、俳諧も嗜むような風流の人だということを肚(はら)に入れつつ、芯の強さを出さなくてはなりません。特に冒頭の出会いは難しいところです。

 11月新橋演舞場で追善興行をさせていただき、翌月にもこのような大役に挑むことができます。すべて重い役ですが、ひとつひとつ丁寧に、そして勤めさせていただくからには客様の心に残るようなお芝居をしたいと思います。平成23年を締めくくる舞台です。今年は目まぐるしいほど様々な挑戦をさせていただきましたが、来年も変わらず継続と挑戦、初役にもたくさん巡りあえる一年であればいいなと思っています。

2011/10/27