「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が意気込みを語りました

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が意気込みを語りました

 4月、「第二十八回 四国こんぴら歌舞伎大芝居 中村歌昇改め三代目中村又五郎襲名披露 中村種太郎改め 四代目 中村歌昇襲名披露」が香川県の金丸座で開催されます。第一部は『正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)』『一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)』、第二部は『戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)』『襲名披露 口上(こうじょう)』『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 川連法眼館の場』が上演される話題の舞台。公演に先立ち出演者が舞台への思いを語りました。

中村吉右衛門
 4月金丸座で、中村又五郎さん、中村歌昇さん、お二人の新しい門出となる襲名披露が行われます。私は「こんぴら歌舞伎」とは縁が深く、一回目の公演から携わらせていただいておりまして、この金丸座がもう一代若い人達の活躍の場にもなっていくのだなと感じております。襲名には何か不思議な魔力のようなものがあり、襲名した人に華が出たり、何段も上に昇ったりということがあります。役者自身の責任感や、深いところでの変化があるからではないかと推測いたしますが、又五郎さん、歌昇さんも襲名披露を重ね、目に見えて華も大きくなっていらっしゃいます。金丸座でも、さらにもう一花咲かせて下さるのではないでしょうか。
 『一本刀土俵入』で駒形茂兵衛を勤めます。お芝居にも桜が出て参りますが、琴平も桜が綺麗に咲いてちょうど良い頃ではないでしょうか。庶民の誰もが持っているような恋心、人生の厳しさや寂しさ、そしてちょっとした幸せ、そうしたものを淡々と描いている大好きなお芝居です。桜の前で自分の気持ちを吐露するセリフはとても感動的で、金丸座で上演できることを楽しみにしています。

中村又五郎
 大好きな金丸座で、又五郎そして倅歌昇の襲名を披露させていただきますことは、琴平の皆様、関係者そして播磨屋(吉右衛門)のお兄さんのおかげと深く感謝しております。金丸座では昨年亡くなられた五世富十郎のお兄さんともご一緒させていただいた事がありましたが、その富十郎のお兄さんに最後に教えていただきました『義経千本桜 川連法眼館の場(通称「四の切」)』をこの度上演させていただきます。
 富十郎のお兄さんからは、セリフに出てくる"狐言葉"というものを懇切丁寧に教えていただき、親への情愛を大切にしなさいと指導をしていただきました。子どもの頃から可愛がっていただいた富十郎お兄さんのことを思いながら、教えていただいたとおりに親子の情愛を出していきたいと思います。皆様のご恩に背かぬよう一所懸命精進し舞台を勤めますので、ぜひ『義経千本桜』の舞台の桜と、琴平の桜を楽しみに、金丸座に足を運んでいただきたいと思っています。

中村歌昇
 今回初めてこんぴら歌舞伎に出演さていただきます。歴史ある金丸座で襲名を披露させていただくのは、とてもありがたく感謝いたしております。金丸座の雰囲気を体感しながら、お客様と一体となってお芝居が出来るように、一歩一歩精進していきたいと思っております。
 『正札附根元草摺』の曽我五郎時致、『義経千本桜 川連法眼館の場』の亀井六郎の二役は、自分がこれまで勤めさせて頂いたことのないようなお役です。こうした役柄もしっかりと出来るように、そして少しでも自分自身が成長できるようにと思っています。『一本刀土俵入』の堀下根吉は格好良くとても演じたいと思っていたお役です。諸先輩方にうかがいながら一所懸命勤めたいと思っています。

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が意気込みを語りました

中村歌六
 私も「こんぴら歌舞伎」に出演するのは初めてで、常々出演したいと思っていた念願が叶い、今はワクワク楽しみにしています。また、初めての「こんぴら歌舞伎」が弟(又五郎)と甥(歌昇)の襲名興行というのも非常に感慨深く、本当に楽しみでございます。錦之助さんとの『戻駕色相肩』では、禿(かむろ)を又五郎の次男種之助君、錦之助君の長男隼人君、私の長男米吉と3人が日替わりで勉強をさせていただきますので、私も子ども達に負けないように精一杯頑張っていこうと思っております。

中村芝雀
 「こんぴら歌舞伎」で播磨屋のお兄さんの一座に加わらせていただき、また又五郎さん、歌昇さんのご襲名という大きな行事に加わらせていただき大変幸せなことと思っています。第一部では『一本刀土俵入』のお蔦、第二部では『義経千本桜』の静御前と、風情の違うお役を二役させていただきます。金丸座はお客様との距離がとても近く、演じる者として、いつも幸せを感じております。お客様にも喜んでいただけますよう懸命に舞台を勤めさせていただきたいと思っています。

中村錦之助
 昔ながらの芝居小屋、大好きな金丸座へは今回で3度目の出演となりますが、錦之助を襲名しからは初めてで、その初のお目見得が、又五郎兄さん歌昇さんの襲名披露、これほど嬉しいことはございません。第一部は『一本刀土俵入』の船印彫師辰三郎、第二部は『戻駕色相肩』の吾妻の与四郎を勤めます。以前新橋演舞場で、吉右衛門兄さんの茂兵衛、芝雀兄さんのお蔦でも辰三郎を勤めさせていただきましたが、2度目となる今回はよりいっそう播磨屋の芝居の色が出せるように勉強し直して勤めたいと思っております。

2012/02/10