『ヤマトタケル』トークイベントで右近、弘太郎が語る

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 9月29日(日)に東京 東劇で行われた、シネマ歌舞伎『ヤマトタケル』特別トークイベントに、市川右近、市川弘太郎が登場しました。

 シネマ歌舞伎『ヤマトタケル』の公開2日目、休憩をはさんで220分という長編映画を鑑賞された東劇の満席のお客様。そのお客様の熱い拍手に迎えられて登壇したのが、右近と弘太郎。先ほどまでスクリーンの中にいたタケヒコ、ヘタルベです。

市川右近

シネマ歌舞伎『ヤマトタケル』に初対面!
 昭和61(1986)年『ヤマトタケル』の初演以来、全公演に出演している右近。「全編を客席から観るのは今日が初めて。なにしろ今までは、どこかの場面に自分が出演していたので...(笑)。映画化されたことがとてもうれしい。しかも、満席のお客様にご覧いただき、本当にありがとうございます」と、満面の笑みのご挨拶から始めました。

 「"初"スクリーンデビューということで、すごくドキドキしました」と切り出したのは弘太郎。『ヤマトタケル』との出会いは2歳のとき、歌舞伎の初観劇だったそうで、右近が演じていたヘタルベに憧れ、お手製の衣裳で真似事をしていたとのこと。その思いが長じて歌舞伎俳優を目指し、念願かなって平成17(2005)年3月、ついにヘタルベ役を手に入れました。

市川弘太郎

映像ならではの演出にびっくり
 シネマ歌舞伎のみどころを聞かれ、二人が揃って挙げたのが「第一幕 熊襲の宮殿」。猿弥が演じる熊襲弟タケルが、猿之助演じる小碓命(おうすのみこと)へ「タケル」の名を譲り渡すシーンです。「猿弥さんの素晴らしい演技が活かされていて、この場面を観て涙が流れたのは初めて」(右近)と、舞台では不可能な、映像ならではの演出に驚いた様子で、「舞台でご覧いただくのとは違った感動...、お得感がありますね」とシネマ歌舞伎を堪能した様子でした。

 また、舞台出演者ならではの感想もありました。「クライマックスにヤマトタケルが"天駆ける心、それが私だ!"と言葉を残し、天空へと旅立つ...。このせりふこそ師匠の猿翁が描いた"無垢なる魂"そのものなんです。私がヤマトタケルを演じたとき、稽古ではこのせりふがスッと出てこなかったのですが、肉体的にも精神的も大変なこの芝居をすべて演じきったとき、このせりふがスラリと出てきたんです」と、右近は当時の気持ちを蘇らせたようでした。

『ヤマトタケル』、観てください!
 「人生の節目にいつも「ヤマトタケル」という作品がありました、自分にとって本当に欠かすことができない作品。2歳だった自分が初めて歌舞伎を観て感動したように、年齢に応じていろいろ感じ方が変わっていくと思います。ぜひ何年も、何回もご覧になっていろいろ感じてください」(弘太郎)。

 「僕にとって『ヤマトタケル』は自分の精神をリセットしてくれる芝居。これからも"無垢なる気持ち"で芝居に没頭していきたい、と教えてくれる作品なんです。ぜひ歌舞伎を初めてご覧になるような方、お子さんやお孫さんと一緒に歌舞伎を知っていただく、そのきっかけになればうれしく思います」(右近)。二人それぞれに思いをたっぷりと語り、最後まで熱気冷めやらぬままトークイベントは終了しました。

 なお、東劇では『ヤマトタケル』の上映は11月8日(金)まで。この機会にぜひ、映画館まで足をお運びください。


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2013/10/03