春猿、月乃助、笑三郎出演『婦系図』10日開幕

春猿、月乃助、笑三郎『婦系図』

▲ 「湯島境内」市川春猿、市川月乃助

 10月10日(木)、東京 三越劇場で、「新派百二十五年 新派名作撰『婦系図(おんなけいず)』」が初日を迎えます。

 初日前日に行われた公開舞台稽古の前には、出演者の3人が顔を揃え、市川春猿は歌舞伎俳優としては玉三郎以来、30年ぶりとなるお蔦役を「勉強させていただきます」と話し、早瀬主税(ちから)役の市川月乃助は、「新派のなかでも最もポピュラーな作品です。ぜひご覧ください」と呼びかけました。

 市川笑三郎は演じる姉芸者、小芳が「実は...を秘めた女性で、とても人間らしい女性なので、共感しながらやっております」と語りました。


春猿、月乃助、笑三郎『婦系図』

▲ 「柳橋柏家」月乃助、市川笑三郎、立松昭二

 舞台の幕が開くと後姿のお蔦。「元芸者の風情を見せたい」と春猿が言っていたとおり、あだっぽく光る首すじが目を引きます。「女を棄てるか、俺を棄てるか」と、恩師に非情な決断を迫られた主税の悲痛な心の叫びを残しつつ一幕目が終わり、二幕目はいよいよ「湯島境内」の場。

 先日の成功祈願で湯島天神を訪れていた二人は、「頭の中に明確なビジョンができてよかった」(月乃助)、「うかがったときの足や手の感覚が残っていて、(芝居に)気持ちも込めやすい」(春猿)と、芝居に大きなプラスになったことを話しました。

 「切れるの別れるのってそんなことはね、芸者のときに言うことよ。今の私には死ねと言ってください」の名せりふ、お蔦と主税の二人の千々に乱れる心が、清元の詞章と相まって大きく揺れ動くさまを描き出します。喜多村緑郎の詳細な演技メモがあるこの場面、計算しつくされた動き、せりふが自然に、しかも緻密に積み上げられ、見る側はすっかり湯島の境内に入り込んでしまいます。

春猿、月乃助、笑三郎『婦系図』

 「八丁堀めの惣」春猿、笑三郎

 三、四幕目はいよいよ『婦系図』と題された"系図"の意味が、明らかになっていく場面です。柳橋芸者の小芳が江戸っ子芸者の粋を溌剌と見せれば見せるほど、病に伏せるお蔦のやつれた様子が悲しく映ります。しかし、その小芳にも実は...。


 三越劇場『婦系図』は10月25日(金)まで。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹にて販売中です。
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2013/10/09