愛之助、壱太郎が「舞踊詩 黄金の夢」を語る

「舞踊詩 黄金の夢」片岡愛之助 中村壱太郎

創作舞踊劇『清衡(きよひら)』中村壱太郎、片岡愛之助(写真はすべて昨年公演より)

 11月19日(火)、東京国際フォーラムで行われる東日本大震災復興支援 「舞踊詩 黄金の夢」は、昨年の盛岡に続く2回目の公演となります。公演を前に、出演の片岡愛之助と中村壱太郎に、その意気込みを聞きました。

 舞踊の『橋弁慶』、『勧進帳』に続いて、上原まりが筑前琵琶で『散る花草紙』を語り、最後に創作舞踊劇『清衡(きよひら)』を上演するこの公演。歌舞伎の数多くの演目に登場する義経が、奥州へ落ち延びる道程を軸に、東北に栄華と平安の時をもたらした奥州藤原氏の祖、清衡(きよひら)の物語に至るという構成です。

「舞踊詩 黄金の夢」片岡愛之助

 創作舞踊劇『清衡』片岡愛之助

 

義経が頼った秀衡、その祖父、清衡の物語
 義経の人物像を浮かび上がらせることで、「物語の流れがわかりやすく、最後は時をさかのぼることになりますが、全体が通し狂言のようになっているんです」と、愛之助。若柳吉蔵ほか多くの舞踊家と歌舞伎俳優、「両者ががっつり組んで舞踊劇を上演するのは、なかなか見られません。見逃してほしくないですね」と、昨年の手応えをふまえて公演をアピールしました。

 清衡のたどった数奇な運命は、当時の武家社会の家族関係や忠義が複雑に絡み合う話になりますが、「舞踊劇にすることで、コンパクトに美しくまとまった作品になっています。なので、演じ分けもしやすかったです」と言うのは、清衡の母、結有(ゆう)と義経、2役を演じる壱太郎。とはいえ、愛之助の演じる清衡に「母上」と呼ばれる役柄を演じるのは、やはり1回の公演では難しかったとのこと。

 「見た目に老けるのではなく、母の大きさを出すことで、違和感なく、役として成り立たせたいと思います」と、2度目の挑戦へ意気込みを語った壱太郎のもう一つの挑戦が、新しく増えた演目、『橋弁慶』。平成19年7月大阪松竹座でも演じた牛若丸ですが、「最後の『清衡』が義経の終着点とすると、『橋弁慶』は歌舞伎でいうところの発端。物語自体が大きくなり、よりわかりやすくなると思うので、大切に演じます」と、役の重みと演じる喜びを語りました。

復興支援の気持ちを長く持ち続けたい
 「僕らは大したことはできないけれど、芝居で皆さんを支援させていただきたいのが一つ。ご当地で喜んでいただくのはもちろん、この東北の物語をもっと広く知っていただきたいのが一つ。そして、長いスパンで支援させていただきたい、これが大事なことなのではないでしょうか」。復興支援の気持ちを風化させないための公演として、3回、4回と続けていきたいと、愛之助は強く語りました。

 「昨年は、お客様がのめり込んで観てくださっている気がしました」と壱太郎が話すように、東北の人たちの心をしっかりつかんだ物語が、今年は東京で上演されます。ぜひ劇場で、東北に思いを寄せるひとときを過ごしてください。

「舞踊詩 黄金の夢」若柳吉蔵、中村壱太郎

創作舞踊劇『清衡』若柳吉蔵、中村壱太郎

2013/11/08