「明治座 五月花形歌舞伎」初日開幕

市川染五郎

 5月2日(金)、「明治座 五月花形歌舞伎」が初日を迎え、出演の市川染五郎が公演に向けての意気込みを語りました。

 初夏の風を感じる日和となり、初日から大勢のお客様が詰めかけた明治座。夜の部の『伊達の十役』をはじめ、昼夜にわたり奮闘する染五郎が開演前の取材に答えました。

 連日、深夜まで続く稽古で、「ほとんど家に戻る暇もなく、劇場にどっぷりつかっています」とうれしそうな染五郎は、もし連休がとれたとしても稽古したいと言うほど、この公演にすべてを費やしています。それでも、「舞台に立つと自然と力が出てくる。(九世澤村)宗十郎のおじ様、猿翁のおじ様に力をいただいているからだと思います」と、念願の上演がかなった2演目に思いを巡らせ、二人に感謝を忘れませんでした。

すごいものを、すごいもの、としてお見せしたい
 染五郎が「宗十郎の会」で観て以来、上演を切望していた昼の部の『邯鄲枕物語 艪清の夢(かんたんまくらものがたり ろせいのゆめ)』は、明治座では明治38(1905)年以来の上演になります。「宗十郎のおじ様に見てもらえないのが悔しい限り。喜んでもらえるようにおじ様に向かって上演したい」。

 十年以上、染五郎が憧れを抱き続けていた夜の部の『伊達の十役』は、猿翁が昭和54(1979)年4月明治座で164年ぶりに上演した復活狂言。十役の早替りがあり、「台本は161ページ、ほぼ私がしゃべっています(笑)」と、体力的にはかなりハードな演目ですが、「限界以上の限界まで自分を追い込んでいきたい」と、稽古後も演じる意欲に変わりはありません。「猿翁のおじ様の歌舞伎に対するエネルギー、情熱、魂を皆様に感じていただけるようにしたい。そして、おじ様をびっくりさせたい」。

 明治座は宙乗りの設備が常設されており、染五郎は仁木弾正として悠々と宙を歩いて3階へ引っ込みます。「この芝居に適した劇場ですね。復活上演の初演もここ。ゆかりのある劇場で、最高のやり方の宙乗りをお見せします」と意気込みます。「すごいものを、すごいもの、としてお見せしたい」、それが、今回の上演にかける染五郎の思いです。

出し切ることが大事
 昼の部では染五郎はほかに、松羽目舞踊の『釣女』にも出演。「登場人物すべてが愛にあふれる人物です。温かくほのぼのとした一幕」。その前には、若手が揃って古典の大役に挑戦する『義経千本桜』「鳥居前」があります。

 「どの演目も、すべてを出し切ることが大事。格好悪いくらい、へろへろになるまでやり切るつもりです。皆が大きな役に挑むので、出演者それぞれに思いは強い。皆が何倍も大きくなって千穐楽を迎えたい。高いところに向かっている姿を、お客様に見届けて欲しいです」。

 「明治座 五月花形歌舞伎」は26日(月)まで上演。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹ほか、明治座チケットセンター、「席とりくん」にて販売中です。

2014/05/02