出演者が語る「錦秋名古屋 顔見世」

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 10月5日(日)~27日(月)、愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールで行われる 「錦秋名古屋 顔見世」公演で、出演する尾上菊五郎、中村時蔵、尾上松緑、尾上菊之助が公演への意気込みを語りました。

「錦秋名古屋 顔見世」

 御園座建て替え中も名古屋の「顔見世」をと、昨年に引き続き開催される「錦秋名古屋 顔見世」。今年は菊五郎が、「きれいなもの、新しいもの、武張ったもの、面白いもの、さらにバイオレンスも入っているので、若い人にも見ていただいて、一人でもファンを増やしたい」と、わかりやすく、歌舞伎味にあふれる演目が並びました。

若手が大活躍
 荒事の代表的な演目、『車引』で始まる昼の部、『棒しばり』の松緑、菊之助のコンビは2回目です。松緑は「僕自身、何度も次郎冠者をさせていただいていますが、コンビネーションをいかに合わせていくかだと思います。4年ぶりの名古屋での公演、初めての市民会館で楽しみ半分、不安も半分ですが、見に来ていただければ、本当に喜んでいただける演目が並んでいます」と、公演をアピールしました。

「錦秋名古屋 顔見世」

 昼の切は、『人情噺文七元結』で、「お兼は女方でも一番汚い格好のおかみさんだと思いますが、次の夜の部では位取りの高い八重垣姫、そのギャップをどう埋めるか」と時蔵が話すと、文七ではなく角海老女房お駒に初挑戦する菊之助は「長兵衛役の父を諭す役ですので、果たしてどういうふうになることか…」と自身も舞台を楽しみしている様子をうかがわせました。

初役の挑戦が楽しみ
 夜の部は『十種香』から始まります。勉強会(昭和46年8月国立劇場「杉の子会」)で六世歌右衛門に、通し上演で演じた際(平成17年3月国立劇場)は芝翫に教わったという八重垣姫について、時蔵は「本当に難しい役」とひと言。その八重垣姫に「思っていただけるよう、品位を高く勤めたい。内面に持っているものを充実させ、きちんと肚に落として勤めます」と勝頼役の菊之助も語り、歌舞伎味たっぷりの時代物に期待を抱かせました。

「錦秋名古屋 顔見世」

 『身替座禅』は音羽屋の家の芸、新古演劇十種の一つとして、六世菊五郎の芸が当代菊五郎に伝わるもので、わかりやすく面白いものの代表ともいえる演目です。そして最後が『伊勢音頭恋寝刃』。菊五郎いわく、「福岡貢は町人でも侍でもなく、非常に難しい役。また、周りもそろわないとできない狂言」ですが、お伊勢参りを舞台にしたこの演目のご当地で、菊之助が初役の貢に挑戦します。

「錦秋名古屋 顔見世」

  「代々の菊五郎が勤めた音羽屋にゆかりの深い役で、以前からやってみたいと思っておりました。万野にどういじめられるのか楽しみです」。

 万野は時蔵で、やはりやりたかった役の一つと言います。「先輩方の舞台が目に残っており、一番怖かったのは成駒屋のおじさん(六世歌右衛門)。こういう芝居は自分なりに考えるより、まずは習ったとおり楷書でやり、あとは菊之助さんと相談して、より面白くできたらと思っています」。

 「御園座さんに育てていただいた私ども」と菊五郎が何度も口にしたように、菊五郎劇団と浅からぬ縁の御園座は、若手が大役に挑戦することも多かった劇場でした。「建て替え中というピンチをチャンスにして」「名古屋の歌舞伎の灯を消さないように」といった発言も聞かれ、出席者からの意気込みが強く感じられる会見となりました。

 「(会場となる)市民会館に歌舞伎の色をつけていきたい。1カ月腰を据えて、楽屋から舞台へ自分たちの道をつくり、歌舞伎の風を吹かせたいと思っております」。菊五郎は、全力でこの公演を盛り上げていくことを誓いました。

 「錦秋名古屋 顔見世」は10月5日(日)~27日(月)の公演。チケットは8月6日(水)より、チケットWeb松竹御園座オンラインチケットほかにて発売されます。

2014/07/01