勘九郎、七之助「十一月新派特別公演」への思いを語る

embujo_1028d.jpg

前列左より、水谷八重子、中村七之助、中村勘九郎、波乃久里子 後列左より、柄本明、近藤正臣

 10月28日(火)、新橋演舞場「十一月新派特別公演」の出演者6名が、十七世中村勘三郎、十八世中村勘三郎の眠る東京 光照山西徳寺に墓参し、公演の成功を祈念しました。

 11月1日(土)より新橋演舞場で始まる 「十一月新派特別公演」は、10月歌舞伎座「十月大歌舞伎」に引き続き、「十七世中村勘三郎二十七回忌 十八世中村勘三郎三回忌 追善」として行われます。追善興行2カ月目を前に、水谷八重子、波乃久里子、近藤正臣、柄本明とともに、中村勘九郎と中村七之助が祖父と父の眠る台東区の西徳寺を訪れ、10月歌舞伎公演の報告と、新派初参加となる11月の公演の成功を祈念しました。

勘九郎、七之助「十一月新派特別公演」への思いを語る

 父である十七世、弟の十八世に手を合わせた波乃は、「(勘九郎と七之助の)二人が新派の舞台に出てくれてうれしい。でも、弟がいなくて悲しい」と複雑な胸中を明かしました。

 勘九郎も複雑な気持ちではあるものの「父が祖父の二十七回忌追善でやると決めていた中にある演目を、10月の歌舞伎座に続き、演舞場でやらせていただく。めったにない2カ月連続追善興行ができることには、感謝しかありません。父がやっていた『鶴八鶴次郎』をやらせていただけて幸せです」と、感謝と喜びを表しました。

勘九郎、七之助「十一月新派特別公演」への思いを語る

 七之助も同じく感謝の念を表しつつ、「新派に、まさか女方の自分が出させていただけるとは思っていませんでした。初めてでしかも『鶴八鶴次郎』の鶴八という大役。不安でいっぱいですが、父に“パワーをください”と言いました」と率直に語り、「初めて新派をご覧になるお客様もいらっしゃると思うので、名作に傷がつかないよう、俳優の皆さんに泥を塗ることにならないようにします」と意欲を見せました。

 新派初参加の二人を子どもの頃から知る水谷は、「お母様がやんちゃぶりに困っていらしたのが、こんなに(十八世勘三郎に)そっくりに育ったのは、血以外の何ものでもないでしょう」と目を細め、十七世勘三郎が最期まで演じたがっていた『京舞』の春子役を演じることについて、「おじいちゃま(十七世)からいただいた役だと思っておりますので、ご家族が追悼される公演で演じる…、こんなありがたい参加の仕方はありません。なんとしても成功させないと、という責任も感じております」と語りました。

 「二人の勘三郎さんが本当に好きだった」と言う近藤も、追善公演に出られるうれしさと喜びを表し、「『口上』は生まれて初めて、しゃべることはたくさんあるけど、一所懸命短くします」と、数えきれない思い出を胸に語りました。柄本は十八世勘三郎が亡くなる前に「“親父の二十七回忌の公演に出なさい”と言われたときは、お父様のことは知らないしと言いましたが、こうして出る意味ができてしまった。何もできませんが、一所懸命やります」と、故人の願いを受けて前向きに取り組む姿勢を見せました。

 「父が逝ってしまってから、人から聞く父の話が幸せというか、僕たちの力になっています。ゲストの方々から父の話が聞けるのはうれしい」と、『京舞』劇中追善ご挨拶のゲストの出演に感謝した勘九郎。最後に波乃が、「二人は伯母を軽く超えました。あとはまず、劇場をいっぱいにしないと(父と弟に)許されませんので、どうぞよろしくお願い申し上げます」と、追善の舞台へのご来場を呼び掛けました。 

 新橋演舞場「十一月新派特別公演」は、11月1日(土)~25日(火)の公演(夜の部休演日あり)。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹にて販売中です。


『京舞』劇中追善ご挨拶のゲストはこちら

勘九郎、七之助「十一月新派特別公演」への思いを語る


2014/10/28