愛之助が『雨の五郎』を披露「歌舞伎座スペシャルナイト」

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 10月26日(月)、歌舞伎座で第28回東京国際映画祭プレゼンツ「歌舞伎座スペシャルナイト」が開催され、片岡愛之助が歌舞伎舞踊『雨の五郎』、映画『虎の尾を踏む男達』が上映されました。

  22日(木)、国内外の映画人が東京に会する映画の祭典、第28回東京国際映画祭が華々しく開幕しました。都内に点在する会場の一つとして歌舞伎座も映画祭に参加し、26日(月)、東銀座の夜を彩る特別なイベント「歌舞伎座スペシャルナイト」が開催されました。

 午後5時半の開場を前に、いつも以上に華やかな装いで来場されたお客様は、歌舞伎座正面入口に敷き詰められたレッドカーペットに驚きの歓声。記念撮影を楽しまれる姿も見られました。客席の下手桟敷には、ミス・インターナショナル各国代表が艶やかな着物姿で居並び、会場に華を添えました。

愛之助が『雨の五郎』を披露「歌舞伎座スペシャルナイト」

 プログラムの初めに、司会の羽鳥慎一氏、西尾由佳理氏が定式幕の前に立ち、歌舞伎座の歴史を紹介。歌舞伎に初めて触れるお客様も多いイベントらしく、「襲名」という言葉の意味や、演目の解説も行われ、いよいよ愛之助の『雨の五郎』の幕開きです。大磯の静かな雨景色を背に、セリから五郎が登場すると、会場の空気はキリリと一変。海外からのお客様が、大向うからの声に驚いたり、花道の演技を身を乗り出すように見る様子が印象的でした。

 休憩をはさみ、前回の東京国際映画祭から新設された「SAMURAI賞」の授賞式が行われます。本年受賞者の山田洋次、ジョン・ウーの両監督は花道から登場。サプライズゲストとして、大友啓史監督と吉永小百合さんもお祝いに駆け付け、会場は温かな雰囲気に包まれました。

 イベントの締めくくりは、黒澤明監督作品『虎の尾を踏む男達』(1945年)の上映。おなじみ『勧進帳』を音楽喜劇に仕立てた名作が、このイベントのためだけに貴重な35ミリフィルムに焼き直され、大河内傅次郎の弁慶、十世岩井半四郎(本名の仁科周芳で出演)の義経が歌舞伎座のスクリーンに見事よみがえりました。

 愛之助はイベント後の会見で、来月初日を迎える京都四條南座の「吉例顔見世興行」にて富樫を勤めることに触れ、「『勧進帳』の物語は、海外からいらした、歌舞伎をご覧になったことがない方でも楽しめる」とコメント。歌舞伎舞踊『雨の五郎』も、国際的なイベントにふさわしく「いかにも歌舞伎というイメージ」を意識して選んだと明かしました。

 歌舞伎をもっと楽しんでいただくためには、との質問には、「海外の方に限らず、まずは、言葉の壁があると思いますので」と、歌舞伎座の英語版字幕ガイドやイヤホンガイドを紹介し、さらに、「俳優のせりふを聞くために、イヤホンガイドなしでもう一度見ていただく」ことをすすめました。また、立廻りのきめで家紋を形づくるなど、2階席や3階席から見たほうが美しい演目もあることを挙げ、「階を変えて何度も見るのも、歌舞伎ならではの楽しみ」と語り、国内外のお客様に、もっと歌舞伎を見ていただくために精進していく決意で結びました。

愛之助が『雨の五郎』を披露「歌舞伎座スペシャルナイト」

▲ 『雨の五郎』片岡愛之助

2015/10/26