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『寺子屋』『道成寺』披露、こども歌舞伎スクール「寺子屋」2年目の修了発表会

こども歌舞伎スクール「寺子屋」平成二十七年度修了発表会

 こども歌舞伎スクール「寺子屋」平成二十七年度修了発表会『菅原伝授手習鑑 寺子屋』より

 

 

 2月20日(土)・21日(日)、歌舞伎座ギャラリー内の木挽町ホールで、こども歌舞伎スクール「寺子屋」の平成二十七年度修了発表会が開かれ、『菅原伝授手習鑑 寺子屋』と『京鹿子娘道成寺』の一場で、1年間の稽古の成果が披露されました。

 『寺子屋』の源蔵に澤村國矢、戸浪は中村京妙、涎くりは中村かなめ、3人の助演を得て、竹本、黒御簾の演奏も入り、小太郎、菅秀才と寺子たちが、幕開きの手習いのくだりを上演。梅(基礎)コースで学んだ第二期生は41名で、2日間6班に分かれ、全員が木挽町ホールの檜舞台に立ちました。菅秀才、小太郎と寺子がそれぞれの役を真剣に演じ、せりふの声が大きく響き渡ります。幕が降りると観客でいっぱいになったホールからは、たくさんの温かい拍手が舞台に送られました。

 

こども歌舞伎スクール「寺子屋」平成二十七年度修了発表会

 こども歌舞伎スクール「寺子屋」平成二十七年度修了発表会『京鹿子娘道成寺』より

 

 

 昨年『寺子屋』を発表した第一期生は2年目の竹(発展)コースに進み、今回は『娘道成寺』の所化に挑戦しました。第四期歌舞伎座で使われていた揚幕がシャリンと音を立て、「聞いたか聞いたか」「聞いたぞ聞いたぞ」と、花道から登場した所化は6人。白拍子花子が登場する前の所化たちのやりとりは、普段の公演ではほとんど大人の俳優が勤めています。せりふの受け渡しもあり、心を合わせ、芝居の雰囲気をつくり出さないといけません。

 

 せりふが終わっていったん引込むと、今度は花傘を持っての総踊りです。長唄と囃子に合わせ、傘を開いたり閉じたり、足拍子をきかせたり、難しい振りも手先までしっかり伸ばし、息をそろえて頑張ります。2日間7班の上演で、竹コース40名が晴れの修了発表会出演を果たしました。

 終演後、助演の京妙は、「皆さん、しっかりしている。ちゃんと声も出ていたし。それに器量よし、歌舞伎に入ってくれるといいですね」と、生徒の頑張りを褒めました。「小さい頃に歌舞伎を見るだけでなく、体験したことが、将来進む道の何かきっかけになれば」と、國矢が言うと、かなめは「礼儀作法はこれから必要なことなので、子どもたちがこうして学ぶのは、とてもいい経験になるのでは」と続け、3人ともに、歌舞伎スクール「寺子屋」での稽古や発表会が、子どもたちにとってとてもいい経験になると語りました。

 

 3人とも『寺子屋』という演目には勉強会などを通じて深い思いがあります。勉強会で戸浪を勤めた京妙は、「四世雀右衛門に教えていただいたお役。そのときを思い出しました」。國矢は子役として寺子、勉強会で源蔵、昨年の修了発表会での涎くりは本役も勤めています。かなめは、平成中村座の試演会で源蔵を勤め、「怒られたことしか覚えていない」とも。國矢が「勉強会の経験を思い出しながらさせていただきました」と振り返ると、京妙は「そう思い出すと、お子さんたちがどれだけドキドキしているか考えてしまって、こちらもドキドキ」と、思いはさまざまです。

 

 お子さんたちのための発表会だからと、いつもと異なる小さな舞台での立ち位置にも気を配り、生徒にとっては一度きりの舞台のため、日頃にも増して緊張感の高まるなか、第二期生の晴れ舞台を支えた3人。終演後の記念撮影では、にっこり笑顔で思い出の一枚に納まっていました。

 

 

こども歌舞伎スクール「寺子屋」公式サイトはこちら

2016/02/22