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3年目のこども歌舞伎スクール「寺子屋」修了発表会

こども歌舞伎スクール「寺子屋」平成二十八年度修了発表会『菅原伝授手習鑑 寺子屋』より

 こども歌舞伎スクール「寺子屋」平成二十八年度修了発表会 『菅原伝授手習鑑 寺子屋』より

 

 2月18日(土)・19日(日)、歌舞伎座ギャラリー内木挽町ホールで、こども歌舞伎スクール「寺子屋」第三期修了発表会が行われ、在校生による『菅原伝授手習鑑 寺子屋』と『京鹿子娘道成寺』の一場が披露されました。

 2日間にわたり、梅(基礎)コースの第三期生が『寺子屋』、竹(発展)コースの第二期生が『道成寺』の所化で、1年間の稽古の成果を披露した、こども歌舞伎スクール「寺子屋」の平成二十八年度修了発表会。

 

 立ち見が出るほど満員の会場で、「修了発表会にお越しいただき、ありがとうございます。これから竹コースの第二期生、い班、ろ班による『京鹿子娘道成寺』の所化の演技と踊りの発表をご覧いただきます。まず、長唄囃子連中の皆さんにお入りいただきます」と、会を進行するのもスクールの生徒さんたちです。

 

 『寺子屋』は、今年も3人の歌舞伎俳優の助演を得て本格的な舞台となりました。源蔵は松本錦弥で、戸浪の中村京妙は2年連続、涎くりは中村橋吾が勤めました。幕が開いて「一字千金二千金、三千世界の宝ぞと…」と聞こえてきた義太夫は、スクールの音楽部門の統括講師でもある葵太夫。本物に触れることの大切さを掲げる、こども歌舞伎スクールだからこそできた発表会といえるでしょう。梅コースの第三期生24名は、4班に分かれてそれぞれが菅秀才と小太郎、寺子を演じました。

 

こども歌舞伎スクール「寺子屋」平成二十八年度修了発表会『京鹿子娘道成寺』より

 こども歌舞伎スクール「寺子屋」平成二十八年度修了発表会 『京鹿子娘道成寺』より

 

 第二期生はすでにスクールで2年学んできた生徒さんたちです。「聞いたか聞いたか」「聞いたぞ聞いたぞ」と花道から登場した六人の所化。一人ずつせりふを言って演技をしたり、花傘を使った総踊りで全員が息を合わせたりと緊張の場面が続きましたが、どの班も日頃の稽古の賜物といえる出来を見せました。そして、こちらも出囃子には統括講師の田中傳左衛門が、歌舞伎座出演に重ならない班の発表に出演。7班に分かれた竹コース全34名の晴れ舞台も無事に幕を降ろしました。

 修了発表会を終え、衣裳から稽古着に着替えた生徒さんたちは、いつもの稽古場に集まりました。講師の先生方からは、「皆さんよく頑張った」「今日はよくできました」とねぎらいの言葉がかけられると同時に、普段の稽古の大切さも語られました。「初めての衣裳、鬘(かつら)、化粧。稽古場でできていたことが、そういうことに気を取られてできなくなってしまうことが多い。だからこそ稽古が大切」「普段の稽古の全部が出せなかったかもしれない。稽古が70点だと本番は50点になってしまいます。本番でも80点が出せるように、お稽古では100点を目指して真剣に取り組んでほしい」。

 

 最後に、いつもの稽古と同じように姿勢を正し、あらためて先生方や裏方さんにお礼の挨拶をしました。「今日の発表会を支えてくださったのは、歌舞伎座で演奏し、歌舞伎座で衣裳や床山のお仕事をしている方。こんな豪華な発表会はないと思います。それをちゃんと受け止めて次の段階に進めるように、またお稽古を一所懸命頑張りましょう」「せっかくこんな経験ができるのだから、楽しんでほしい。本番で楽しんでやれるように、これからもお稽古に励んでください」との先生方の言葉に元気よく返事をして、修了発表会が終わりました。

 

 

こども歌舞伎スクール「寺子屋」公式サイトはこちら

2017/02/20