4月2日（日）から、大阪松竹座新築開場二十周年記念「ブロードウェイ・ミュージカル『コメディ・トゥナイト！ ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》』」が上演されるにあたり、新橋演舞場で公演中の片岡愛之助が語りました。

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自信を持って大阪へ乗り込む 

　いよいよ大阪での公演、「もともと大阪の人間ですので、自信を持って大阪に行けます。東京出身の出演者の方は（笑いの本場といわれる）大阪で大丈夫かと怖がっていらっしゃいますが、私は安心しています」と、愛之助は笑顔を見せました。歌舞伎の公演で東京と大阪の違いをよく知るだけに、東京での客席の反応をふまえての頼もしい発言です。はやる気持ちを「ホームグラウンドで初ミュージカルがうれしい」と表しました。

 

　お気に入りはと聞かれ、「おじさん四人のシーンがやはり面白い」と、ダイアモンド✡ユカイ、ルー大柴、高橋ジョージと一緒に歌う「女中に夢中」を口ずさむ声も弾みます。とはいえ、ここにたどり着くまでの道のりは決して平たんではありませんでした。「最後まで通した台本を見たら、最初の台本のページは一枚もなかったんです。つまり全部変更したわけです」。ファイルに綴じられた台本は、変更のたびに紙が貼りつけられて分厚くなり、ばっさり抜きかえていった結果、元のままのページはなかったといいます。

 

《江戸版》をブロードウェイに負けない作品に 

　最初にブロードウェイ版の映像を見たとき、「太ったおじさん（トニー賞受賞のネイサン・レイン）が歌っていたので、私が着肉と髭をつけてやるのかなと思っていたら、江戸版に置き換えると。音符ひとつ変えるのもダメなブロードウェイ・ミュージカルを江戸版に置き換えるなんてありえない話なのに」、作詞・作曲のスティーヴン・ソンドハイムが江戸版を演出の宮本亜門にすすめたことから、不可能が可能になりました。

 

　「亜門さんも、期待されているし、絶対こちらのほうが面白くすると気合が入っていて、聞いたらこんなに悩んだ作品はありません、とのこと。悩んでくださってうれしいなと思いました」。たとえば、宮本のこだわりは、英語を聞いたときの音と似たような日本語を使い、しかも意味も通るようにしたいといったことにも及びました。東京の初日が開いてからも、「昼夜の公演の間に変更の紙、“ラブレター”って呼んでいるんですが、それが入ってきて稽古が始まるんです」。最終形になっての大阪入りですが、客席の反応で変更もおおいにありそうです。

 

歌わずに語る、語りかけるように歌う難しさ 

　宮本演出は稽古が始まったときには歌えるのが当たり前と聞き、歌舞伎座で4演目に出演しながら、夜は歌のレッスンをしていたと愛之助は明かしました。「厳しい人なんだなと思いました。でも、稽古が始まったら、すべて忘れて語ってくださいと言われ、えっ、それじゃあ今までやってきたことはなんだったんだ！」。しかし、その意味はすぐにわかりました。「歌が完成したうえで全部壊し、せりふに音符をつける。必要なのは語りかけるように歌うこと」。行書で書くためには楷書を学ぶ必要があると解釈したそうです。

 

　歌い上げそうになると、「落ち着け落ち着け」と劇中歌の歌詞で自分に言い聞かせ、稽古終盤で「突然、ハーネス（宙吊りのための器具）をつけて自由に飛んでくださいと言われて」ぐるぐる回転し、「原作の設定は奴隷でこっちは丁稚、ニュアンスが違うし、そもそも丁稚なのにこの頭、扮装が（歌舞伎と）違っているのは歌舞伎俳優としてなにかと気になる」と思いながらも、宮本の「劇中劇だからなんでもあり」のひと言で、作品の世界観に入り込むことができたと愛之助。「コメディーですしね」と、どこまでも明るく答えます。

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　「お調子者で口八丁手八丁、思いついたことをあたかもずっと考えてきたかのように話す。あざとさがあっていい役で、自分がやったことのないキャラクター」の丁吉を演じる愛之助にとっては、「いつも歌舞伎で立っている舞台で歌っている不思議。舞台から見る風景は同じはずなのにこんなに違う」。初ミュージカルでもあり新鮮に感じる舞台ですが、「お客様に助けていただいている、パワーをいただいている」のは同じ。すべてに感謝をしながら、大阪へと乗り込みます。

 

　　『コメディ・トゥナイト！ ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》』は、4月2日（日）から25日（火）まで大阪松竹座で上演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹にて販売中です。

 

ブロードウェイ・ミュージカル『コメディ・トゥナイト！ ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》』公式サイト