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歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 

 

 5月3日(水・祝)、歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の功績を称え、昭和11(1936)年に始まり、今では歌舞伎座の恒例の祭典となった「團菊祭」。七世尾上梅幸二十三回忌、十七世市村羽左衛門十七回忌追善にあたり、團菊ゆかりの演目に俳優たちが顔をそろえ、追善、襲名、初舞台、初お目見得と、華やかな「團菊祭」になりました。

 

 昼の部は、初代坂東楽善、九代目坂東彦三郎、三代目坂東亀蔵の襲名披露狂言『梶原平三誉石切』で幕を開けます。梶原平三を当り役とした十五世市村羽左衛門の型を彦三郎が披露、客席は大きな拍手に包まれました。追善や襲名、初舞台、初お目見得など、今年の「團菊祭」を折り込んだ科人の剣菱呑助のせりふには、客席もおおいに沸きました。

 

 二幕目は『吉野山』。今回は義太夫のみの演奏で、背景には流れゆく吉野川も見えます。静御前は桜満開の舞台中央から姿を現しました。海老蔵の佐藤忠信実は源九郎狐と菊之助の静御前の顔合わせは、本興行では初めてで、上演の多い演目ですが、やはり今年の「團菊祭」ならではのひと幕となりました。

 

 昼の部の切は、音羽屋ゆかりの演目『魚屋宗五郎』で、菊五郎が当り役の宗五郎を演じます。女房のおはまは七世尾上梅幸が、二世松緑を相手に何度も演じていた役。追善のためのひと幕です。その舞台で菊五郎の孫、梅幸にとっては曾孫となる寺嶋眞秀(まほろ)が、丁稚与吉で初お目見得。花道から一人登場すると、客席からは万雷の拍手が起こりました。

 

 夜の部の幕開きは、襲名狂言『壽曽我対面』です。華やかな祝祭劇で、背景には富士山が描かれ、襲名、初舞台らしい、晴れやかな舞台となりました。彦三郎の長男亀三郎が、鬼王家臣亀丸で初舞台。大叔父の権十郎に手を引かれて花道から登場すると、客席が一段と大きく沸きました。劇中では、楽善、彦三郎、亀蔵、初舞台の亀三郎の襲名口上が行われました。菊五郎を口切りに出演俳優が祝いの言葉を述べ、お客様からの温かい拍手は、幕が閉まってもやむことはありませんでした。

 

 続く『伽羅先代萩』は、仙台伊達藩のお家騒動を題材とした時代物の名作です。前半は、子を殺されても、忠義のために気丈に振る舞う政岡を菊之助が熱演。松緑の男之助に捕らえられた鼠が、仁木弾正の姿となって現れる後半は、生粋の実悪である弾正を海老蔵がみごとに演じ切り、團菊祭の伝統を受け継ぐ二人が存分に華を開かせて客席をうならせました。

 

 夜の部は松緑と亀蔵による、『弥生の花浅草祭』で幕となります。場面と役柄が四変化していくなかで、音楽に合わせて二人が次々と踊り分けます。動きの激しい「三社祭」も終わりまで乱れることなく息の合った踊りを見せ、最後の「石橋」へ。獅子の精による毛振りは圧巻で、客席からの拍手を力に勢いよく毛を振る勇壮な獅子の精が、場内を圧倒しました。襲名披露狂言で始まった今年の「團菊祭」は最後まで、襲名を寿ぐにふさわしい舞台となりました。

 

 1階ロビーには七世尾上梅幸二十三回忌、十七世市村羽左衛門十七回忌追善の祭壇が設けられ、2階ロビーでは、襲名と初舞台を寿ぐ祝い幕の原画を展示しています。今年ならではの、より華やかな「團菊祭」。ぜひ、歌舞伎座へお越しください。

 

 歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」は、5月27日(土)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で販売中です。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

劇場に入ってすぐ左前方にしつらえられた、追善の祭壇

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

2階ロビーには祝い幕の原画も展示されています

 
2017/05/04