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獅童が語る「松竹大歌舞伎」秋季公演

獅童が語る「松竹大歌舞伎」秋季公演

 

 

 11月1日(水)~26日(日)、全国20カ所で開催される「松竹大歌舞伎」について、出演の中村獅童が語りました。

 「初役のいがみの権太です。権太は念願の大役。復帰する最初の歌舞伎のお役が権太で、本当に幸せです」。病を得てやむなく休演した獅童が、11月の「松竹大歌舞伎」『義経千本桜 すし屋』で、歌舞伎の舞台に帰ってきます。

 

忠信、知盛、そしていがみの権太

 「小悪党だけれどどこか愛嬌のある、人間味あふれた権太をお見せできたら。平成中村座の舞台で(十八世)勘三郎のお兄さんを、間近で毎日見させていただいておりましたので、思い出しながら勤めたい」。平成13(2001)年11月の平成中村座『義経千本桜』の通し上演に出演、試演会で勘三郎の指導を仰ぎ、「四の切」の狐忠信を演じています。その後、新春浅草歌舞伎でも勤め、平成19(2007)年1月の浅草、翌年2月の博多座では知盛にも挑みました。

 

 あとは権太だ、と自分でも思っていたと明かした獅童。「一所懸命勤めます」の言葉にも力が入ります。「高麗屋のおじ様(幸四郎)は、必ずこうしなさいとはおっしゃらない。個性を伸ばしてくださる教え方です。稽古が楽しみです。ご相談しながら、獅童らしい権太をつくれたらと思います」。初役への挑戦、それも歌舞伎の立役にとっての大役である『千本桜』の3役、しかし、獅童は緊張よりも演じる喜びにあふれていました。

 

獅童が語る「松竹大歌舞伎」秋季公演

「いい芝居をお見せしたい」 

 療養中は食事に気を付け、スポーツジムで体力回復に努め、「7、8割は戻りました。お客様に見ていただくので、完全復活まであと2割、まだまだ鍛えたい」と元気いっぱい。筋力がついて体も引き締まったそうです。「舞台でお役を演じることが仕事。結果を残す、いいお芝居をお見せして皆さんに喜んでいただくこと。それがすべてです」と、気持ちも前向きです。

 

 舞台を休んでいる間は、なるべく芝居のことを考えないようにしていたけれど、「気づくと考えていました。役者というのは、いいことも悪いこともすべて経験。日々、どんなことを感じて生きているのかが、表現一つひとつにつながっていくんじゃないかと思っています」と、そこにはどんなことも舞台への糧に変えていく力強さがありました。「声がどれくらい出るかなと、恐る恐る出してみたら思いのほか大きくて、自信がつきました」。

 

獅童の歌舞伎を観たら元気になったといわれたい 

 全国各地の劇場やホールを回る秋季公演、「『すし屋』は人間ドラマでわかりやすい内容、『釣女』もわかりやすく、可笑しみのある芝居です。幅広い世代の方々に見ていただきたいですね」とにっこり。「生の醍醐味を感じ、劇場へ足を運んでよかったねと思っていただけるような公演になればいいなと。獅童の歌舞伎を観たら元気になった、といわれる役者でいたいです」。

 

 元気に復帰して舞台を勤め上げることで、皆さんに恩返しをしたいという獅童。「自分らしく、自分を信じて精いっぱい突っ走っていけたらなと思います。努力すれば70歳、80歳までもやらせていただける世界。末永くずっといい舞台を勤めていたい」、その新たな第一歩となる舞台復帰の公演。「これが歌舞伎を観るきっかけになっていただけたらうれしいです」。

 「松竹大歌舞伎」は11月1日(水)から26日(日)まで、全国20カ所全31公演。公演の日程と会場、問い合わせ先については、公演情報をご覧ください。

 

獅童が語る「松竹大歌舞伎」秋季公演

2017/07/28