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愛之助が語る「第十回 永楽館歌舞伎」

愛之助が語る「第十回 永楽館歌舞伎」

 

 

 11月4日(土)~12日(日)、兵庫県 出石永楽館「第十回 永楽館歌舞伎」の公演が決まり、出演の片岡愛之助が第十回公演に向けての思いを語りました。

 「今年で第十回。感無量」と、率直に喜びを表した愛之助。毎年恒例の『口上』に代わり、今年は『芝居前』でのご挨拶に引き続き、『元禄花見踊』をご覧いただいて10周年を賑やかに祝します。「いつもと違った特別感のある舞台にしたい。演出にも趣向を凝らしたいと思っています。楽しみにしていてください。皆様に支えられ、ますます盛り上がっていきたい」と笑顔を見せました。

 

永楽館から発信する『仙石騒動』

 「地元にゆかりの『仙石騒動』は、前々から上演候補に上がっていましたが、大変な長編なので、これまで手を付けられずにおりました。でも、第十回の節目の今年こそ、この企画を実現させるまたとないチャンスですので、今回、129年ぶりに上演することになりました」

 

愛之助が語る「第十回 永楽館歌舞伎」

 『鏡山』の加賀騒動、『伽羅先代萩』の伊達騒動などと並び、三大御家騒動にも数えられる仙石騒動は、地元出石藩仙石家の世継ぎを巡る騒動で、結果、出石藩は知行が約半分の3万石に減封されてしまいました。「歴史上の御家騒動を振り返ったとき、その関係者が善か悪かを単純に割り切ることはできませんが、物語をわかりやすくするため、歌舞伎らしく、あえて登場人物の善悪をはっきりさせて演じます」。

 

 明治21(1888)年7月東京 新富座で上演された『千石船帆影白濱(せんごくぶねほかげのしらはま)』は、九世團十郎が民谷(今回の上演では神谷)転(うたた)、初世左團次が仙石左京と誉田(ほんだ)作十郎、五世菊五郎が秋坂中務(なかつかさ)という、「“團菊左”で演じられた名作。再演させていただけるような作品になるよう練り上げます」。愛之助は神谷と左京という、團十郎と左團次が初演した2役を早替りで演じます。「壱太郎さんも早替りをします。少し色っぽい場面、悲しい別れの場面、そして、立廻りは、構想中のアイディアが実現すれば、かなり面白いことになると思います」。

 

永楽館は私の芝居の原点

 愛之助は第五回の「永楽館歌舞伎」(平成24年11月)で上演後、大劇場で再演を重ねた『鯉つかみ』を例に、「皆が演じてみたいと思っていただける作品をここから生み出していきたい。永楽館は私の芝居の原点になりつつあります」と、これまでの9回の「永楽館歌舞伎」を振り返りました。

 

 決して交通の便がいいわけでもない永楽館に足を運んでくださるお客様のため、なにか特別なものをお見せしたいと、「第一回から必ず初役の演目を選んで、新しいものをつくる場としてやらせていただきました」。それはやがて、愛之助にとって、新しいことに踏み出す「チャンスをいただけるありがたい場」になりました。舞台の大きさや機構など、「いろいろしばりのある劇場で、できる狂言は限られてきます」が、それを逆手にとって演目立ての工夫にも挑戦できます。

 

海外へも発信していきたい

 平成20(2008)年8月、長く閉館していた永楽館が平成の大改修により復活、中貝宗治豊岡市長は、「柿葺落は歌舞伎で幕を開けたいという、地元の強い要望を受けて、永楽館歌舞伎がスタートし、以来、愛之助さんが町の顔になっています。地域やお客様まで一体となって、永楽館歌舞伎のスタイルをつくり上げてきました。海外のお客様も増え、国境を越えて世界に愛される永楽館歌舞伎に育ってくれたらいいなと思っております」と、記念すべき第十回にあたって力強く発信しました。

 

 愛之助もそれに応え、「永楽館をもっともっと知っていただきたい。夢は大きく、永楽館でつくった芝居で海外公演ができたらうれしい」と語りました。「永楽館は自分のなかでの第二の故郷。できるだけ続けて恩返しとして何かできればいいと思っています」。記念すべき第十回の「永楽館歌舞伎」も、まだまだ語りつくせないお楽しみが詰まった公演になります。ぜひ、出石永楽館へお越しください。

 出石永楽館「第十回 永楽館歌舞伎」は、11月4日(土)から12日(日)までの公演。初日前の3日(金・祝)にはお練りも予定されています。公演チケットは、9月19日(火)より、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹、永楽館窓口(窓口のみ18日[月・祝]9:00より)ほかで発売予定です。

 

愛之助が語る「第十回 永楽館歌舞伎」

 「第十回 永楽館歌舞伎」 左より、大橋直人永楽館歌舞伎実行委員会委員長、片岡愛之助、中貝宗治豊岡市長

2017/08/23