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幸四郎、染五郎が語る御園座「柿葺落四月大歌舞伎」

幸四郎、染五郎が語る御園座「柿葺落四月大歌舞伎」

 2018年4月1日(日)~25日(水)、御園座「柿葺落四月大歌舞伎」で襲名披露を行う幸四郎改め二代目松本白鸚、染五郎改め十代目松本幸四郎が、襲名と新たに開場する御園座についての思いを語りました。

 来年4月、装いも新たに5年ぶりに開場する御園座。その柿葺落であり、二代目白鸚、十代目幸四郎の襲名披露ともなる「柿葺落四月大歌舞伎」は、記念の公演にふさわしいものになりました。幕を開ける『寿曽我対面』と切狂言の『廓文章』は、おめでたいときに上演される東西の代表的な演目。柿葺落らしい2本のほか、高麗屋ゆかりの演目が並びます。

 

思い出深い御園座が新たな御園座となる公演で

 「祖父(七世幸四郎)の時代からお世話になっている名古屋で、私が息子とともに晴れがましい襲名披露興行を、しかも新生御園座の柿葺落で上演できますこと、まことに胸がいっぱい。いろいろな思い出がよみがえってまいります」。幸四郎は子役時代、御園座の当時の常務(後の長谷川栄一会長)に、「東山動物園で弟(吉右衛門)と象に乗せていただいた」という微笑ましい話もはさみながら、「名古屋で芝居ができることがうれしい」と喜びました。

 

 大好きな『操り三番叟』を初めて勤めたのが、御園座に初お目見得を果たした初代松本白鸚十三回忌追善公演だった染五郎。昨年の「錦秋名古屋 顔見世」の千穐楽で、「幕が降りても拍手が鳴りやみませんでした。名古屋の皆様にひと月温かく見守っていただいたこと、ありがたく思っておりました。次に名古屋で幕が開くときは、幸四郎として幕を開けさせていただきます。柿葺落で皆様に喜んでいただけるよう勤めたい」と、意気込みました。

 

代々の高麗屋が大切にしてきた『籠釣瓶』『勧進帳』

 昼の部の「口上」に続く『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』で、染五郎が初役の次郎左衛門、幸四郎は長兵衛を勤めます。染五郎は「治六、栄之丞では出させていただいておりますが、(次郎左衛門を加えた)3役をする人はまずいないのでは。曾祖父(父の母方、初世吉右衛門)から代々当り役としている役をもって幸四郎のお披露目をさせていただく。責任感を強く強く持って、皆様にお披露目できれば」と、表情を引き締めました。

 

幸四郎、染五郎が語る御園座「柿葺落四月大歌舞伎」

 夜の部は『梶原平三誉石切』に続き、『勧進帳』。幸四郎は11年前の最後の御園座出演と同じ弁慶で新御園座に立ちます。「御園座さんの柿葺落で弁慶。これは命を賭けてやらなければ申し訳ない。ひと月間、死に物狂いでいたします。息子にはちょっと出しゃばった白鸚と思われるかもしれませんが、これはやらなければと思いました」。弁慶役に初めて刻まれる白鸚の名。「父が白鸚となって1回目の弁慶で、富樫を勤めさせていただきます」と、染五郎にとってもまた特別な富樫となりそうです。

 

新幸四郎が念願をかなえる清元の『廓文章』

 そして『廓文章』、常磐津での上演が多い上方狂言です。「上方の芝居は大好きで勉強させていただいていますが、これに関しては、東京式といっていいのかわかりませんが、清元のものが本当に素敵だなと。清元の伊左衛門を勤められている俳優さんは、今は澤村藤十郎のおじ様しかいらっしゃらない。憧れの気持ちが前に出すぎて、いつやれるかわからないですけどお稽古してくださいと、以前、約束をとったこともありました。それがこのようなときに勤めることができる。喜びでいっぱいです」。

 

幸四郎、染五郎が語る御園座「柿葺落四月大歌舞伎」

 染五郎が初役で勤める伊左衛門。十七世、十八世勘三郎のビデオを見て、「あのように自由に、力を抜いて舞台に立って、それが芝居であるという、そういう舞台の立ち方に憧れます。そこに清元の音楽。見ていての気持ちよさと軽やかさ、本当に伊左衛門の気持ちそのもの。そういう風情のある芝居ができる役者になりたい」。念願かなったうれしさいっぱいですが、「初役で襲名のお披露目、これ以上高いハードルはありません。高麗屋の人間である、幸四郎であることをより意識して舞台に立ちたい」と、力強く語りました。

幸四郎、染五郎が語る御園座「柿葺落四月大歌舞伎」

 4月の開場が待ち遠しい御園座。二代目白鸚、 十代目幸四郎がこの新しい御園座の舞台に立ちます!

 「名古屋のお客様はひときわお芝居を楽しんでいらっしゃる。役者にとってこれほどうれしいことはございません。お客様に喜んでいただけることが一番」と語った幸四郎は、新しい御園座で、「新しい歌舞伎の魅力が生まれますように」と願いました。

 

 「すごく真剣に見られている視線を感じるのが名古屋のお客様」、芸どころ名古屋を意識すると言ったのは染五郎。名古屋には昔からの踊りがそのままの形で残っているものが多いので、「その面白さを勉強し、お披露目できるようにしたい」と抱負を述べました。

 

 御園座「柿葺落四月大歌舞伎」幸四郎改め二代目松本白鸚 染五郎改め十代目松本幸四郎 襲名披露は、4月1日(日)から25日(水)までの公演。チケットは、2月20日(火)より、チケットWeb松竹御園座ほかで発売予定です。

 

幸四郎、染五郎が語る御園座「柿葺落四月大歌舞伎」

 左より、小笠原剛御園座会長、染五郎改め十代目松本幸四郎、幸四郎改め二代目松本白鸚、安孫子正松竹株式会社副社長

2017/12/21