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「四国こんぴら歌舞伎」成功祈願お練りで襲名ご挨拶

「四国こんぴら歌舞伎」成功祈願お練りで襲名ご挨拶

 

 

 4月6日(金)、旧金毘羅大芝居(金丸座)「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の初日を前に、出演者らが琴平町で「成功祈願お練り」を行いました。

 第三十四回を迎える今年の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」では、八代目中村芝翫、四代目中村橋之助、三代目中村福之助の襲名披露が行われます。

 

 お練りの前には金刀比羅宮の御本宮で、公演の成功祈願を行った一行。人力車に乗り込んだ出演者たちに、手づくりの紙吹雪が舞います。あいにくの天候となりましたが、通るのもやっとという人出の中、アーケードでのお練りが始まりました。幟と提灯が近づくと歓声が上がり、町を挙げてこんぴら歌舞伎を歓迎していることが伝わってきます。ようやく金陵の郷に到着した一行は、セレモニー会場のステージに上がり、晴れやかな笑顔でお集まりの皆さんに挨拶しました。

 

「四国こんぴら歌舞伎」成功祈願お練りで襲名ご挨拶

 はじめに芝翫が襲名の挨拶とともに、雨にもかかわらずお練りとセレモニーにお越しいただいた皆さんに深く感謝し、「浅草のお練りも雨でしたが、父(七世芝翫)が大変な雨男でして、私は晴れ男、今回も父親に負けたなと。亡き父は金丸座が大好きでしたので、一緒に来てくれているのではないかなと思います」と語ったところで、拍手が起きました。

 

 橋之助は「琴平初お目見得でございますので、橋之助といえば父ではなく、僕と思っていただけるように、一所懸命勤めさせていただきます」、福之助は「先輩方が歴史を築き上げてきたこんぴら歌舞伎、金丸座の舞台に立てることにわくわくしています」と、二人は初出演を喜び、舞台への精進を誓いました。

 

 「ただいま!」と元気な声を響かせたのは梅玉。「今回は7年ぶりです。皆様には何回もおいでくださるようお願いいたします。それが襲名披露の彼らを盛り上げることになりますので」と、ご来場を呼びかけました。魁春は琴平に入ってすっかり讃岐の春を満喫したと明かし、「明日から頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします」と、笑顔で語りました。秀調は12年ぶりで、「12年前は眼鏡もかけていなかったのですが…、千穐楽まで頑張って舞台を勤めます」と意欲を見せました。

 

 3年前も雨のお練りだったという松也は、「雨にもかかわらず、皆さんとおおいに触れ合うことができました。毎回、お練りに参加してエネルギーをいただき、初日を迎えること、本当にありがたく思っております」。児太郎もこんぴら歌舞伎初お目見得ですが、「父(福助)と一度だけ金丸座にまいりまして、そのときは生後4カ月でした。叔父たちの襲名公演に父の思いを込めて一所懸命勤めます」と、気を引き締めていました。

 

 3年ぶりの出演となる橘太郎は、「2度目のこんぴら歌舞伎、よろしくお願い申し上げます」、19年ぶりの梅花は「襲名して梅花として初お目見得、新しい気持ちで頑張りたいと思います」と挨拶し、お集まりの皆さんから温かい拍手を受けていました。挨拶のあとは花束贈呈、鏡開き、乾杯と続き、三本締めでめでたくお練りセレモニーが終了しました。

「四国こんぴら歌舞伎」成功祈願お練りで襲名ご挨拶

 5日(木)には、舞台稽古の前に金丸座の前で取材が行われました。稽古で金丸座の舞台に19年ぶりに立ち、「自分自身を見直したような気がしました。すべてがここから始まったと言っても過言ではないと思います」と、思い出の数々を蘇らせていたのは芝翫。「橋之助、福之助は客席の一番前に座って、えー、こんなに舞台が近いの!とびっくりしていましたけど、それほどお客様に見られているという思いをかかえて精進を重ね、1カ月を過ごしてほしい、そのような思いでおります」。

 

 「本当に素晴らしい小屋だと感動した」橋之助は、あちこちの席に座ってみて、「どの席から見ても劇場の雰囲気がものすごくよく感じられ、お客様もそうでしょうけれど、演じる僕たちもすごく楽しみな気持ちになりました」。『鳥居前』の忠信という大役が、「金丸座の大きさ、雰囲気にぴったり。幕外の引込みでは、小屋全体の空気をかき回すように思い切りやりなさいと、菊之助のお兄さんにご指導いただいたので、意識してやってみたい」と、意欲満々でした。

 

 福之助もすぐに金丸座の雰囲気が好きになったと言い、「『石橋』の稽古では、お客様に毛が当たらないかと、いつもだったら心配しないようなことまで考えてしまいました」と、客席との距離感に驚きを隠せない様子。芝居小屋での公演が「本当に純粋に楽しみな気持ち」と明かしました。「今回もすごくいいお役をいただいていますので、襲名の1年半でやってきたものを舞台にぶつけ、お客様に喜んでいただけるように頑張りたいと思います」。

 

 万感胸に迫る芝翫が、「今朝、うちの父の写真を楽屋に飾りました。孫三人も来ておりますし、父が1カ月ここにいるんじゃないかと思っています」と、最後にしみじみと語り、三人は初日に向けての稽古に向かいました。さまざまな思いの詰まったこんぴら歌舞伎は、いよいよ明日、幕を開けます。 

 

「四国こんぴら歌舞伎」成功祈願お練りで襲名ご挨拶

 旧金毘羅大芝居(金丸座)「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、4月7日(土)から22日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で販売中です。

2018/04/06