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幸四郎が南座新開場トークイベントに登場

幸四郎が南座新開場トークイベントに登場

 10月6日(土)、南座「當る亥歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」の11月公演で襲名披露する松本幸四郎が、大阪 ルクアイーレ「梅田 蔦谷書店」のトークイベントに登場しました。

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 南座新開場までひと月を切り、新開場記念の公演で父の二代目白鸚、息子の八代目染五郎とともに、三代そろっての襲名披露を行う幸四郎。イベント開場の1時間以上も前から、大勢の歌舞伎ファンの皆さんが入場待ちの列をつくり、幸四郎の登場と同時に大きな拍手が沸いてトークが始まりました。

 

4度目の弁慶で初めて「滝流し」を踊る

 南座での襲名披露狂言『勧進帳』については、憧れの弁慶への特別な思いがあふれました。「弁慶は体力、精神力、すべてを使い切って演じる役。そういう父の姿を見ていましたので、すべてを出し切って舞台を勤めるという生き方、その姿に、格好よさを感じたのかもしれません。父の弁慶を僕の体を通して、多くの皆様にお伝えしていきたい」。

 

 初演の初日は緊張がなかったけれど、「日を追うごとに緊張が沸いてきました。大変な役を、大変だとわかるには時間がかかることがわかりました」。今度は、これまでの歌舞伎の記録にはない、親、子、孫、三代で富樫、弁慶、義経を演じる舞台。「今回、父が勤めていた『滝流し』の部分を入れてさせていただきます」。延年の舞のあとに滝流しが入ることで、「弁慶も、演奏もまったく違ってきます。全曲ではなく短い時間ですが、パワーを集約して使うので、とても大変」、と明かしました。

 

 染五郎も弁慶を憧れに思っていると言い、「僕は教える役目。父がやっている『勧進帳』を今回ですべて教わるので、弁慶は4回目になりますが、11月は、自分のなかでは大きな一つの区切りになると思っています」。見逃せない『勧進帳』が、記念すべき新開場記念の檜舞台で上演されます。

 

幸四郎が南座新開場トークイベントに登場

踊り比べの『連獅子』、
カルチャーショックを受けた『雁のたより』

 昼の部の襲名披露狂言『連獅子』は、本興行では初の親獅子。「1日だけやらせていただいたことがありますが、仔獅子とまったく違います。お客様の視線がほぼ仔獅子、なので、こっちのほうが若々しいぞ、強いぞ、とアピールしたい気持ちになります」。『連獅子』は「狂言師が親子の舞を踊るという踊りをお見せする作品。ですから、踊り比べ、と解釈しています」という幸四郎は、「気迫の踊りになればいい」と語る一方、染五郎に対しても「しっかりした稽古が必要」と力を込めました。

 

 夜の部では『雁のたより』の若旦那金五郎を勤めます。初めて見たときは「自分の歌舞伎のジャンルになかったので、カルチャーショックを受けた」上方芝居です。三世歌右衛門が書いた芝居で、「役者がどれだけ楽しく演じられるかが、お客様にどれだけ楽しんでいただけるかにつながります。(五郎七役の)鴈治郎のお兄さんと楽しい話が毎日できれば」というと、想像をめぐらせた会場の皆さんから笑いもこぼれました。

 

南座の空間を一人でも多くの方と共有したい

 そして、最後にあらためて南座について、「歌舞伎専用の劇場でもあるけど古典歌舞伎もでき、まったく新しいこともできる劇場でもあるので、本当に楽しみ」と満面の笑顔で語った幸四郎。「保守的と見られがちな京都ですが、僕にとっては破壊的だったり、パンクなイメージもあるので、そういうことを象徴するような劇場になると思います。400年あそこに南座がある、400年歌舞伎が上演されているという、とてつもない歴史があるうえで、まったく新しいこともする。両極ができるということで、京都を象徴する場所になるだろうなと思います」。

 

 すでに発表されている南座の公演ラインナップに、「11月以外、僕の名前がなかった…。どういうことだ!」と本音ものぞかせて会場を笑わせたり、一つひとつの質問に真摯に、ときにユーモアを交えて語ったりで、あっという間にお開きの時間に。最後は「南座で、顔見世興行で、三代襲名披露。三代の南座での初めの一歩、そして、新しい南座の初めの一歩。伝統と革新を感じることのできる空間を、一人でも多くの方と共有できればと思っております」と締めくくり、大きな拍手に送られて会場をあとにしました。

 明後日11日(木)には、場所を京都に移し、多くの作品を一緒につくり上げてきた尾上菊之丞もゲストに加わって、先斗町歌舞練場で「襲名道中膝栗毛 先斗町高麗夜話」が開かれます。さらに、深く切り込んだ内容にと準備万端、ぜひ、こちらへも足をお運びください。

 

幸四郎が南座新開場トークイベントに登場
2018/10/09