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こども歌舞伎スクール成果披露公演の稽古場から

こども歌舞伎スクール 成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」の稽古場から

 『贋作桃太郎 百桃かたり』は「寺子屋」のために書き下ろされた、ここでしか見られない演目。公演まで残すところ約1カ月となり、ぴりりとした空気が稽古場に流れます

 3月10日(日)、24日(日)、歌舞伎座ギャラリーの木挽町ホールで開催される、こども歌舞伎スクール「寺子屋」初 成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」の稽古の様子を、今回はご紹介します。

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こども歌舞伎スクール「寺子屋」成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」の稽古場から

 扇子の持ち方、顔の角度も、稽古を重ねるなかで身に沁みこんできます

 まずは、3月10日(日)に公演を控える、『贋作桃太郎 百桃かたり(がんさくももたろう ももももかたり)』を稽古する松(前進)コース。寺子屋在籍4年目以上の、小学2~6年生が参加しています。稽古が始まる前から自主的にすり足の稽古を行う生徒たちの表情は、まさに真剣そのものです。稽古開始は正座をして、「お願いいたします」と、そろってのご挨拶から。鏡のない稽古場では、ほかの生徒たちとタイミングを合わせるのもひと苦労ですが、稽古を繰り返すうちに息も合い、音楽に合わせた心地よい“間(ま)”が生まれてきました。総勢20名が登場する宴の場面では、両花道も使って迫力たっぷり。生徒たちのまっすぐな眼差しに、公演への期待がふくらみます。

 

こども歌舞伎スクール「寺子屋」成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」の稽古場から

 初の成果披露公演に向けて、動きの一つひとつに気合が入ります

 3月24日(日)に公演を行う「木挽町わかば座」として稽古を重ねるのは、中学部門に在籍する生徒たち。歌舞伎コースと舞踊コースに分かれており、今回の公演では、それぞれ、『寿曽我対面』と、『藤娘』を披露します。

 

 
こども歌舞伎スクール「寺子屋」成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」の稽古場から

  「今回は使わないけれど、覚えておいて」と、さまざまな視点から話す秀太郎。生徒たちに対する期待が感じられます

 『寿曽我対面』には、7名の男子生徒が出演。歌舞伎公演への子役出演経験をもつ生徒も多数います。日頃、講師を務めるのは梅乃と蔦之助ですが、1月半ばには、統括講師の秀太郎による特別稽古がありました。工藤左衛門祐経は「重みをもって。今で言うと、総理大臣。大名は参議院、衆議院の議員と思えばいい」と、生徒にもわかりやすく、役を解説しました。さらに、「音と“間”のとり方を覚えないと『対面』は意味がない」と、口伝で伝わるそれぞれの場面での動き方を丁寧に生徒たちに教えました。また、「どのせりふをどう立てるかを考え」、前後のほかの役のせりふも踏まえて、音の高低、強弱をつけることの大切さも伝えました。稽古を経て、「寺子屋」の中学部門歌舞伎コースの生徒たちが、どのような『対面』を見せるのか、楽しみです。

 

こども歌舞伎スクール「寺子屋」成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」の稽古場から

 長年ともに稽古を重ねてきた仲間との公演。息もぴったりです

 『藤娘』には4名の女子生徒が出演します。より美しく見せるために、どのように目線を使うか、姿勢を極めるかなど、稽古を積み重ねてきたからこその細かな点まで指導が入ります。通常は一人で踊る舞踊作品の『藤娘』を、今回は四人そろって出演するとあって、一人ずつ登場し、女性の恋心を繊細に表現する場面もあれば、全員での群舞もあったりと、みどころがたくさん。その分、稽古で気を付けなければならないことも多く、たとえば、二人そろって藤の枝を持ち踊る場面では、先生から枝を持つ「手の角度をそろえて」と指摘され、お互いの動きをよく観察して、傾きを合わせていきました。華やかな衣裳を身にまとって、歌舞伎座ギャラリーの『藤娘』の道具で踊る『藤娘』。「寺子屋」ならではの舞台を、どうぞお見逃しなく。

 

こども歌舞伎スクール「寺子屋」成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」の稽古場から

 1時間の稽古も真剣にとり組むとあっという間

 こども歌舞伎スクール「寺子屋」が開校してから、今年の春で、5年が経ちます。歌舞伎子役の演技と日本舞踊の実技を中心に和の心、礼儀を学ぶことを目的として立ち上がりましたが、生徒たちは同時に歌舞伎の楽しさを発見してきました。その思いが、稽古に真摯に臨む姿勢に表れています。日頃の稽古の成果を披露するとともに、歌舞伎を楽しむ気持ちを伝えることも目的とした、今回の成果披露公演。今後の生徒たちの活躍を応援する気持ちで、ぜひ、お越しください。

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 こども歌舞伎スクール「寺子屋」の成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」は3月10日(日)、3月24日(日)に歌舞伎座ギャラリーの木挽町ホールで開催、1日2回公演です。チケットは明日、1月31日(木)正午からチケットWeb松竹(チケットホン松竹は取扱いなし)で販売します。

 

「歌舞伎、たのしい!」特設サイト

「こども 歌舞伎スクール 寺子屋」ホームページ

2019/01/30