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「坂東玉三郎特別公演」が南座で開幕

 3月2日(土)、南座新開場記念「坂東玉三郎特別公演」初日の幕が開きました。

 昨年の11月に新開場して以来、玉三郎が南座に出演するのはこれが初めて。幕開きを飾るのは、『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋』です。

 

 彦三郎の重忠、亀蔵の岩永が待つ堀川御所へ、前後を捕手に囲まれて登場した玉三郎の阿古屋。伊達兵庫の鬘、今回新調された裲襠(うちかけ)に身を包んだ、華やかなたたずまいに、客席の視線も釘付けに。景清の行方を明かせと脅す岩永に対し、いっそ殺してほしいと身を投げ出す姿に、権力に屈さない気概と品格が際立ちます。重忠に求められるまま、琴、三味線、胡弓を奏でる阿古屋の、乱れのない音色ににじみ出る、愛する人を思い慕う真心が胸を打ちました。

 

 続く演目は『太刀盗人』。亀蔵の田舎者万兵衛は、賑わう都の市場で、慣れない人ごみの中を右往左往。目をぎょろつかせながら現れた彦三郎のすっぱの九郎兵衛が、万兵衛の持つ太刀を盗み取ります。吉之丞演じる目代の丁子左衛門による詮議に、おうむ返しや、あえて間をずらした、みごとな連舞で答える二人。愛嬌ある悪党と、誠実な田舎者の面白みあるやりとりに、笑いが絶えないひと幕です。

 

 そして、昨年の暮れに歌舞伎座で初演されたばかりの歌舞伎舞踊、『傾城雪吉原』。雪が降りしきる中、豪華絢爛な衣裳を身にまとった玉三郎の傾城。息をのむほどの美しい情景が場内を包みます。つれない恋人の訪れを待つ傾城は、はかない恋を淡雪にかさね、二人が出会い、ともに過ごした四季を切なく思い返しながら、巡りくる春へ思いを馳せます。春を迎えようとする、いまの季節にふさわしい舞台となりました。

 南座「坂東玉三郎特別公演」326日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2019/03/05