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歌舞伎座「六月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「六月大歌舞伎」初日開幕

 

 

 6月1日(土)、歌舞伎座「六月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 昼の部、最初の演目は、荘厳かつ華やかな舞踊『寿式三番叟』です。厳かな雰囲気のなか、東蔵演じる翁、松江演じる千歳が、天下泰平を祈って舞い始めます。鼓が軽快なリズムに変わると、幸四郎と松也、二人の三番叟が力強く足拍子を踏み鳴らし、躍動的に舞いました。

 

 続く演目は、『女車引』。『菅原伝授手習鑑』のひと幕、「車引」の登場人物をそれぞれの女房に置き換えており、兄弟の争いを描く「車引」とは違い、陽気な雰囲気がある舞踊です。松王丸の妻千代を演じる魁春、梅王丸の妻春を演じる雀右衛門、桜丸の妻八重を演じる児太郎がまとう衣裳には、それぞれの夫の名前にちなみ、松、梅、桜の柄があしらわれており、なんとも目に鮮やかなひと幕です。

 

 3つ目の演目は、時代物の名作『梶原平三誉石切』。歌舞伎の様式美あふれる演目です。吉右衛門が当り役の、情と智を兼ね備えた武将、梶原平三景時を勤めます。歌六演じる青貝師六郎太夫が、米吉勤める娘の梢とともに刀の買い上げを願い、鶴ヶ岡八幡宮の社頭へやってきます。名刀の証として、景時が手水鉢を切る場面に、客席からも思わず声があがりました。

 

 昼の部の切は、『恋飛脚大和往来』「封印切」。「封印切」で、仁左衛門が当り役とする忠兵衛を歌舞伎座で勤めるのは、平成元(1989)年以来、30年ぶりです。忠兵衛が恋慕する傾城梅川には孝太郎、井筒屋おえんに秀太郎、恋敵の八右衛門に愛之助と、松嶋屋一門がそろいます。八右衛門の挑発に乗ってしまい、公金の封印を切る忠兵衛。手元からこぼれ落ちるお金が、悲しくも、きらきらと輝きます。身請けした梅川との死出の旅へ向かい、花道を引っ込む二人の姿に、切ない幕切れとなりました。

 夜の部は、三谷幸喜作・演出による『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』。三谷が歌舞伎を手がけるのは、平成18(2006)年のPARCO歌舞伎『決闘!高田馬場』以来、13年ぶりで、歌舞伎座での上演は初めてのこと。外国との交流が制限されていた江戸時代後期、船頭の大黒屋光太夫が仲間とともにロシアに漂流し、故郷の伊勢に帰ることを目指す物語です。

 

 松也扮する教授風の男が登場し、船の歴史を語ると、場面は漂流した神昌丸の船上に。そこにいるのは、幸四郎の光太夫、猿之助の庄蔵、愛之助の新蔵、染五郎の磯吉、そして白鸚の三五郎をはじめ、個性豊かな十七人の船員たち。来年の正月こそは伊勢で迎えようと、皆で誓うのでした。

 

 約8カ月の漂流の後、たどり着いたのはロシア領アリューシャン列島にあるアムチトカ島。カムチャッカ半島、オホーツク、ヤクーツクと、伊勢に帰るため、ロシア中を回りながら奮闘します。その間に多くの仲間を亡くしながらも、再び故郷の土を踏むために、凍てつくロシアの大地を進む一行。イルクーツクを目指すように言われ、犬ぞりで雪原を走る様子は、歌舞伎座では見たことのないスペクタクル満載な場面となりました。

 

 やっとの思いで、イルクーツクに着いた一行。歌舞伎初参加となる八嶋智人勤めるキリル・ラックスマンの助けもあり、女帝に直接、帰国の許しを得るため、サンクトペテルブルグに向かった光太夫。ついに、豪華絢爛なドレスをまとった猿之助演じる女帝エカテリーナへの喝見がかないます。白鸚演じる2役目の副官ポチョムキンも登場。歌舞伎座の舞台に、ロシアの宮殿の風景が広がり、圧巻の光景です。光太夫たちは皆で日本に帰れるのか、それぞれが選ぶ道とは…。最後は勢ぞろいで絵面に極まり、幕となりました。

 

歌舞伎座「六月大歌舞伎」初日開幕

 歌舞伎座「六月大歌舞伎」は6月25日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。舞台写真は、舞台写真館(スマートフォンはこちら)でお楽しみください。

2019/06/04