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獅童「八月南座超歌舞伎」に向けての思い

獅童「八月南座超歌舞伎」に向けての思い

 8月2日(金)から南座で始まる、南座新開場記念「八月南座超歌舞伎」について、出演の中村獅童が語りました。

 南座の新開場を記念した「八月南座超歌舞伎」が、8月2日(金)に幕を開けます。平成28(2016)年に幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議」イベントホールで行われた第1回から主演を勤め、「超歌舞伎」の顔となっている中村獅童が、今回の公演にかける並々ならぬ意気込みを語りました。

 

――これまでに4度上演された「超歌舞伎」では、バーチャルシンガーの初音ミクさんとの斬新な顔合わせによる舞台で、話題を集めてこられました。

 初音ミクさんは海外の方たちにも人気がある大スター。そんなすごい方と舞台に立たせていただけるのは、役者にとって幸せなことですね。今までイベントとして行わせていただいていたのが、評判を呼んで、南座という歴史ある劇場で上演させていただけることを、非常にうれしく思っております。南座公演では、歌舞伎を見慣れたお客様や、歌舞伎を観たことがない若いお客様、外国人の方といった幅広い世代のお客様に喜んでいただける、ひとつのエンタテインメントになればという思いでつくっていきたいです。

 

獅童「八月南座超歌舞伎」に向けての思い

――これまでの上演で、特にご苦労されたことについてお話しいただけますか。

 やはり歌舞伎の世界とデジタルの世界をどうやって融合していけるかが大きなチャレンジでしたし、ミクさんを好きな若い方たちのなかに、歌舞伎がどこまで入り込めるか、ということもチャレンジでした。最初は芝居の呼吸を合わせるのが難しく大変で、アナログチームとデジタルチームのスタッフ同士の融合にも時間がかかりました。ですが、回を重ねるごとに上手くいくようになり、お客様も大向うなど歌舞伎の楽しみ方にも年々慣れてこられてきて、最後には一緒に盛り上がって涙して、という想像以上の状況になっています。

 

 忘れられないのが、幕が閉まったあとに客席から「スタッフさん、ありがとう!」という声が聞こえてきたんですよ。思わずみんなで、幕の中で泣きました。「受け入れてもらえたんだな」という、何とも言えない達成感でした。「人間とデジタルとの融合」による感動が、「超歌舞伎」の一番大切なところだと思います。

 

――本公演では、「當世流歌舞伎踊」の名古屋山三、再々演となる『今昔饗宴千本桜』の佐藤四郎兵衛忠信にとり組まれ、リミテッドバージョンには口上で出演されます。

 今回も、立廻りや舞踊、扮装など、古典にこだわった舞台づくりを目指しています。幕張メッセの約5000人規模の大会場でも、歌舞伎の衣裳の色彩美や化粧法が映えるということが僕自身にとって発見でしたし、日本の伝統美、伝統色がデジタルの世界に入っても見劣りしないという「古典の底力」みたいなものを改めて感じました。歌舞伎は、江戸時代から常に新しいことをとり入れてきた、時代の最先端をいく芸能です。歌舞伎役者中村獅童として、「伝統を守りつつ革新を追求する」という生き方を常に探し求めている感じがしています。

 

 リミテッドバージョンで主演する澤村國矢さんは、「超歌舞伎」の第2回ぐらいから「國矢!國矢!」とお客様から熱い声援を受けています。本人も情熱があって真面目な人。高い支持を得ているお客様たちの期待に応えて、このチャンスに大きく羽ばたいてもらいたいという気持ちがあります。

 

獅童「八月南座超歌舞伎」に向けての思い

――「超歌舞伎」で初となる1カ月公演。どのような思いでとり組まれますか。

 これまではイベントとして開催されてきましたけど、歌舞伎の興行として上演されるのは初めて。楽しいことがたくさんある時代に、わざわざ劇場へ足を運んでいただくわけですから、それだけのものをお見せしないといけないと思いますし、何としてでも南座で成功させたいという強い気持ちがあります。

 

 「超歌舞伎」は観客参加型。お客様が振ってくださるサイリウム(ペンライト)がひとつの演出効果といいますか、美しい景色になっています。普段の歌舞伎では、お客様がペンライトを振ることは無いですが、「超歌舞伎」に関してはカジュアルな感覚で楽しんでいただければ。幕張メッセでお客様がつくり上げてくださった、声援と掛け声と盛り上がりを、いつも南座に足を運んでくださっているお客様とミクさんのファンの若い方たちとで、どうやってつくり出せるか。あの空気感を南座で再現できるかどうかに、公演の成否がかかっていると思います。南座でどのような反応を得ることができるかが、「超歌舞伎」の未来につながっていくのではないじゃないでしょうか。夢はふくらむばかりです。

 南座新開場記念 「八月南座超歌舞伎」は8月2日(金)から26日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2019/07/04