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大阪松竹座「七月大歌舞伎」、「関西・歌舞伎を愛する会」節目を祝う幕開け

大阪松竹座「七月大歌舞伎」、「関西・歌舞伎を愛する会」節目を祝う幕開け

 2階ロビーには、「関西・歌舞伎を愛する会」のこれまでをチラシで振り返るボードも設置

 7月3日(水)、大阪松竹座「関西・歌舞伎を愛する会 結成四十周年記念 七月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 「関西・歌舞伎を愛する会」の結成40周年を祝う、今回の公演。毎年恒例となった大阪松竹座での夏の公演が、今年も始まりました。

 

 

 昼の部最初の演目は、『色気噺お伊勢帰り』。松竹新喜劇の代表的な作品を、歌舞伎として再構成し、初めて上演します。鴈治郎演じる左官喜六と、芝翫演じる大工清八は、お伊勢参りを終えて、大坂に帰る途中、古市で廓遊びをします。扇雀演じる女房お安には、頭が上がらない喜六ですが、遊女お紺に惚れられたとお安に嘘をつき、その態度を改めさせようと考えます。しかし、そこにお紺が現れて、事態は思わぬ方向へ。軽快な上方喜劇に、場内ではたびたび笑いが巻き起こりました。

 

 続く演目は、『厳島招檜扇(いつくしままねくひおうぎ)』。厳島神社で、我當演じる隆盛を極めた平清盛が社殿の新造を記念し、祭祀を催そうとしています。しかし、大経堂の造営が間に合っていないことを知った清盛は、沈みかけた夕日を檜扇で呼び戻します。様式美あふれるひと幕で、約5年ぶりの本格的な芝居復帰となる我當に、客席からは大きな拍手が送られました。

 

 昼の部最後の幕は、『義経千本桜』「渡海屋・大物浦」。重厚な時代物であり、歌舞伎三大名作のひとつです。大阪松竹座で12年ぶりに、「渡海屋・大物浦」の知盛を演じる仁左衛門へ、客席から「松嶋屋」と声がかかります。渡海屋銀平という仮の姿から、一門の仇を討つために、鎧姿の知盛へと姿を変えますが、仇討ちはかなわず、最期には碇綱を体に巻きつけ、海に身を投げるのでした。壮絶な最期に、客席には涙を流す人々の姿も見られました。

 夜の部は『芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)』で幕開きです。時蔵が、女房葛の葉と、葛の葉姫を早替りで演じ分けます。安倍保名に命を救われた白狐は、許嫁である葛の葉姫に化けて保名と暮らし、子ももうけていました。しかし、そこに現れたのは本物の葛の葉姫と両親。正体が知られてしまうと感じた葛の葉は、「恋しくば尋ね来てみよ和泉なる 信田の森の恨み葛の葉」と、子を抱えながら口にくわえた筆で障子に書き残し、森へ帰っていきます。趣向に富んだ親子の情愛が胸を打ちました。

 

 続いては、「関西・歌舞伎を愛する会」の節目を祝う『弥栄芝居賑(いやさかえしばいのにぎわい)』です。幕が開いて、浅葱幕が振り落とされると、そこは道頓堀の芝居小屋前。大坂の雁金組の人々が名のりをあげたあと、江戸から来た芸者や鳶頭も現れ、踊りやまき手拭いを披露し、客席から歓声が起こります。最後には、仁左衛門と秀太郎が、それぞれ太夫本の松嶋屋仁左衛門、町名主の内儀のお秀として、木戸口から現れ、これまでの思い出を振り返るとともに、「関西・歌舞伎を愛する会」、そして、関西での歌舞伎公演のますますの発展を祈念して、皆で手を打ち、めでたいひと幕となりました。

 

 

 最後の演目は、男の友情を描いた『上州土産百両首』です。芝翫演じる正太郎と、菊之助演じる牙次郎は、幼馴染。すりの二人は、足を洗うことを決め、10年後の再会を約束します。そして10年後、再会を果たした二人でしたが…。悲しい結末と互いを思う男の友情に、客席中が感動に包まれました。

 

 昼の部、夜の部ともに多彩な演目を上演する今回の公演。「関西・歌舞伎を愛する会」の結成40周年を記念した華やかな舞台に、ぜひご期待ください。

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 大阪松竹座「七月大歌舞伎」は27日(土)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。舞台写真は、舞台写真館(スマートフォンはこちら)でお楽しみください。

2019/07/05