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「九月花形歌舞伎」七之助、壱太郎が興行安全成功祈願

「九月花形歌舞伎」七之助、壱太郎が興行安全成功祈願

 9月2日(月)から始まる南座新開場記念「九月花形歌舞伎」に出演の中村七之助と中村壱太郎が、四谷 陽運寺で興行安全成功祈願を行いました。

 『東海道四谷怪談』のお岩を勤める七之助と、お岩の妹お袖を勤める壱太郎は、お岩に縁ある陽運寺本堂に参拝。30分にわたる興行安全成功祈願法要を無事に終えると、七之助は「お岩様役としては初めてお参りをさせていただいて、改めて身の引き締まる思いです」と神妙な面持ちで話しました。『東海道四谷怪談』に出演するのは今回が初めての壱太郎は、「初めて参拝させていただいて、感動を覚えています。この気持ちを大事に公演に臨みたい」と、その思いを語りました。

 

 

それぞれ初役を勤める『東海道四谷怪談』

 祖父十七世勘三郎、そして父十八世勘三郎の代から中村屋が大事にしてきた『東海道四谷怪談』の「ほぼ全役のせりふを覚えているといっても過言ではない」と言う七之助も、お岩、佐藤与茂七、小仏小平の3役を勤めるのは初めて。早くも始めた稽古で「見るのとやってみるのとでは大違いですね」とその苦労を話します。今回、玉三郎に指導をお願いしたのには、「玉三郎のおじさまの考えている『四谷怪談』と、うちの父親の魂をミックスさせたらおもしろいのではないか」という考えもあってのことだと明かしました。

 

 一方、お岩の妹役を演じる壱太郎は、「初めてこの作品に挑むにあたって、お袖の役は、七之助兄さんもやっていらっしゃるので、お話をうかがいながら、一緒につくっていきたい」と、胸の内を語り、今回の法要についても「毎回こんな大々的に成功祈願をやるお芝居は『四谷怪談』以外にないのでは」と、作品の重みを感じたといいます。「1ヶ月間、昼も夜も『四谷怪談』だけですから。お兄さんたちとこのひと作品に集中して、あの9月の『四谷怪談』よかったねって、ずっと言ってもらうようなお芝居にしたい」と意気込みました。

 

「関西では26年ぶり」に感じる縁

 七之助が驚いたのは、関西の本興行で『東海道四谷怪談』が上演されるのは、実に26年ぶりであるということ。26年前のお岩役は、壱太郎の祖父、三代目中村鴈治郎(現 坂田藤十郎)であったと聞き、壱太郎は、「そのときはまだ2歳か3歳で見ていないのですが、祖父がやっているという記憶はありまして…」と縁を感じずにはいられない様子です。

 

 七之助は続けて「さらにその1つ前の公演は、中座でうちの父と、今の白鸚のおじ様がやって相当に盛り上がったという公演にさかのぼるので、プレッシャーはあります。上演がしばらくなかった理由が、面白くないからと思わせてはいけませんからね。責任重大と思っております」と、冗談を交えて語りました。

 

「九月花形歌舞伎」七之助、壱太郎が興行安全成功祈願

 

いい芝居として楽しんでほしい

 女方がお岩を演じるときは、小仏小平との2役を勤めることが多いなかで、中村屋はさらに与茂七も勤めてきたことに迷った七之助は、玉三郎に相談し、「ここは中村屋の形を受け継いで、3役やらせていただくことになりました」と話しました。普段あまりやらない立役を演じることに照れくささも感じるものの「早替りや戸板返しでそのまま与茂七ででるというのは、これはもう歌舞伎ならではのケレンというか、演出なので、お客様に楽しんでいただきたい」。  

 

 また、怪談だからといって「おどろおどろしいホラーでというような芝居ではないので、やはり人間の業であったり因縁などの怖さを見てほしいです。そして、お岩様という一人の女性のはかなさや哀れさなどが前面に出てくると、この作品はいい芝居になると思っています」と述べました。

 南座新開場記念「九月花形歌舞伎」は9月2日(月)から26日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で取扱い予定です。 

2019/07/31