歌舞伎いろは

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歌舞伎のお芝居(しばい)の題名。
正式には『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』といい、とても長いお芝居で『白浪五人男(しらなみ ごにんおとこ)』とも呼ばれています。
五人男が同じような衣裳で勢揃いして一人一人せりふを言うところは、今の“戦隊ヒーロー”のもとになっているともいわれています。
その長いお芝居の中で、弁天小僧菊之助(べんてんこぞうきくのすけ)が主役の場面は特に人気があり、『弁天娘女男白浪』という題名で、独立したお芝居としてよく上演されています。
どろぼうのことです。日本駄右衛門(にっぽんだえもん)、弁天小僧菊之助(べんてんこぞうきくのすけ)、忠信利平(ただのぶりへい)、赤星十三郎(あかぼしじゅうざぶろう)、南郷力丸(なんごうりきまる)、のどろぼうの5人組を「白浪五人男」と呼んでいます。お芝居はこの5人のお話ですが、今回のせりふは、その中の『浜松屋(はままつや)』という場面で語られます。
 

美しいお嬢さんに変装した弁天小僧。本当は少年です。そのお伴の侍のふりをした南郷力丸と、親分の日本駄右衛門の三人が、浜松屋という呉服屋さんからお金をだましとろうとするお話です。有名な『知らざあ言って聞かせやしょう。』のせりふは、お嬢さんのふりをしていた弁天小僧が、“ニセモノのお嬢さんでしかも男”と見破られ、開きなおって自分の本当の名前を名乗る場面で語られます。それまで美しくしとやかな風情をしていたお嬢さんが、いきなりがらりと態度を変えて、男っぽくすごむところは、このお芝居の一番の見どころです。